空き家問題と家族信託について!制度やメリットについても解説

売却コラム

空き家問題と家族信託について!制度やメリットについても解説

親が住んでいる家が将来空き家になったらどうしようと、悩んでいらっしゃいませんか。
その問題を解決し、大切な資産をスムーズに引き継ぐ手段として、「家族信託」が注目されています。
本記事では、空き家問題が深刻化する背景、家族信託の基本的な仕組みやメリットについて解説いたします。
将来の空き家対策をお考えの方は、ぜひ本記事をご参考になさってくださいね。

この記事の執筆者

このブログの担当者 木下 康裕

株式会社キーポイント代表取締役
タワマン・マンション・戸建て・土地・事業用の不動産売却・購入をご担当させて頂きます。不動産経験15年以上、大手不動産会社出身の担当者がワンツーマンでお客様の不動産売却をお手伝いします!!私は一度きりのお取引で終わるのではなく末永くおつきあい頂ける仲介を目指しております。不動産のことなら、お気軽にご相談をお待ちしております。

空き家が増加する主な原因

空き家が増加する主な原因

空き家問題を家族信託で解決するには、その背景をおさえておくことが大切です。
まずは、空き家が増える主な原因について解説していきます。

増加する空き家の現状

日本国内の空き家問題は深刻化しており、総務省の調査でも空き家数・空き家率は増え続けています。
平成30年の調査では、空き家総数は約848万9,000戸、空き家率は13.6%と過去最高でした。
こうした放置空き家は、倒壊リスクや放火・不法侵入など、犯罪の温床になる可能性があります。
そのため、国は2015年に「空家等対策特別措置法」を施行し、対応を強化しました。
この法律により、周辺環境への悪影響が大きいと判断された空き家は「特定空家」に指定され、行政が所有者へ指導や勧告をおこなえるようになりました。
さらに、勧告に従わない場合は固定資産税の住宅用地特例が解除され、税負担が最大で6倍にもなる重い措置が取られることになります。

相続遅延と世帯の変化

空き家増加の背景には、高齢化と世帯構造の変化があります。
高齢者の単身世帯や夫婦のみ世帯が増え、施設入所や長期入院によって、自宅が空き家になるケースが増加しています。
また、家財整理が難しいなどの理由で、売却や賃貸運用に動けず放置されることも多い状況です。
さらに、所有者の死亡後に相続問題が発生し、複数の相続人で遺産分割がまとまらず、管理責任が曖昧になることがあります。
相続人が自宅を持っている、遠方に住んでいるなど利用見込みがない場合、管理を敬遠して放置されやすくなります。

認知症による管理不全

高齢化とともに深刻化しているのが、所有者の認知症による空き家管理不全です。
2025年には、高齢者の約5人に1人が認知症になると推計されており、意思能力が不十分と判断されると契約行為ができなくなります。
その結果、家が空き家になっても売却・賃貸・解体などの手続きができず、対策が講じられません。
対応策として成年後見制度がありますが、申立てに時間や費用がかかります。
また、後見人の主な役割は「財産保全」であるため、家族が望むような迅速な売却などがおこなえない場合もあります。

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家族信託制度の仕組みと手続き

家族信託制度の仕組みと手続き

前章では、空き家が増える原因について述べましたが、有効な対策の一つが「家族信託」です。
ここでは、家族信託の制度の概要と手続きについて解説いたします。

家族信託の基本

家族信託は、2007年の改正信託法により個人間でも利用できるようになり、空き家問題や認知症による資産凍結対策として注目されています。
制度の中心となるのは、「委託者」「受託者」「受益者」という三者の関係です。
委託者は財産を託す方、空き家対策では高齢の親が担うことが一般的です。
受託者は財産の管理・処分を任される方で、名義が移転し、多くは子などの親族が務めます。
受益者は家賃収入や売却代金など、信託財産の利益を受け取る方です。
典型的な「自益信託」では、親が委託者兼受益者となり、管理権だけを子に移すため、認知症発症後でも後見制度を使わずに子が空き家を売却できます。

契約と管理運営の流れ

空き家を信託財産に組み入れる際は、当事者の合意内容を記した信託契約書の作成が必要です。
不動産を扱うため、公正証書で作成し、信託目的や不動産の詳細、受託者の権限を具体的に定めます。
次に、法務局で「所有権移転登記」と「信託登記」を申請し、信託財産であることを公示します。
登記後は名義が受託者となり、契約書の権限に基づいて空き家の管理運営が可能になる流れです。
その後、受託者は修繕や税金の支払い、賃貸物件として入居者の募集や売却を自らの名義でおこなうことができます。
また、費用や収入を管理するため、受託者名義の「信託口口座」を開設し、個人財産と分けて管理しましょう。

契約時の注意点

家族信託契約を作成する際には、将来のトラブルを防ぐために慎重な検討が必要です。
まず重要なのは「信託目的」で、ここに空き家の売却・賃貸など受託者がおこなえる行為を含めておかなければ、後に権限を行使できなくなる可能性があります。
次に、「信託期間」と「終了事由」を定め、いつ信託を終えるかを明確にしておくことが必要です。
一般的には、委託者(親)が死亡した時や、空き家の処分が完了した時を終了事由とします。
さらに、信託終了後の財産を誰に承継させるかを「残余財産帰属権利者」として指定することで、信託に遺言のような役割を持たせられます。
また、受益者を第二・第三へと連続して承継させる、「受益者連続型信託」の設計も可能です。

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家族信託を活用する3つのメリット

家族信託を活用する3つのメリット

ここまで、空き家問題の原因と家族信託の仕組みを解説しましたが、具体的なメリットもおさえておきましょう。
最後に、家族信託で空き家対策をおこなうメリットについて、解説していきます。

贈与税負担の軽減効果

空き家対策として生前贈与をおこなうと、高額な贈与税や不動産取得税・登録免許税が発生する可能性があります。
これに対し、家族信託で多く利用される「自益信託」では、設定時に贈与税は課税されません。
自益信託は委託者と受益者が同一人物であり、不動産の名義は子に移転しても利益を受け取る権利は親に残り、贈与とみなされないためです。
また、財産の実質的価値は移転していないと判断され、高額な贈与税の心配なく管理体制を整えられます。
実際に課税されるのは親が亡くなった時で、その時点で信託財産が相続税の対象になるのです。
これは節税そのものではないものの、課税時期を相続時まで繰り延べできるという効果があります。

柔軟な管理と処分

家族信託のメリットは、成年後見制度と比べて、柔軟かつ迅速に不動産を処分できる点にあります。
認知症発症後は不動産が「資産凍結」状態となり、成年後見制度では売却に家庭裁判所の許可が必要で、手続きが煩雑です。
家族信託は判断能力があるうちに契約する予防策で、受託者に名義と管理処分権限を移転することができます。
信託目的に、「生活費・介護費の確保」や「空き家の管理・処分」を明記すれば、受託者は裁判所の許可なく売却や賃貸運用が可能です。
そのため、親が認知症を発症したあとでも、子が適切なタイミングで空き家を売却し、施設費用などに充てられます。

スムーズな財産承継

三つ目のメリットは、遺言書よりも確実性が高く、柔軟な財産承継を実現できる点にあります。
家族信託契約には、信託終了時(通常は親の死亡時)に残った財産の承継先を指定する、「遺言代用機能」を持たせることが可能です。
信託で承継先を指定した財産は、原則として遺産分割協議の対象外となり、相続人間のトラブルを避けやすくなります。
さらに家族信託では、遺言書では難しい「二次相続以降の承継先の指定」ができます。
たとえば、「第一受益者を夫、夫の死後は妻、妻の死後は長男へ」といった、数世代にわたる承継を設計できます。
これにより、妻の生活を保障しつつ、最終的に不動産を長男に承継させたいという長期的な希望も実現できるのです。

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まとめ

高齢化や相続問題、認知症による管理不全が影響し、国内の空き家は深刻な社会問題として増加しています。
家族信託は、親が元気なうちに信頼できる子へ不動産の管理権を託す制度で、公正証書での契約や信託登記によって設定します。
贈与税の負担なく資産凍結を防ぎ、認知症発症後も受託者が柔軟に売却できるため、スムーズな財産承継を可能にする点がメリットです。


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