離婚後も家に住み続けるメリットはある?産分与についても解説!

相続コラム

離婚後も家に住み続けるメリットはある?産分与についても解説!

離婚する際に、家を売るべきか、それともそのまま住み続けるべきかで悩む方は多いです。
リスクを考えると売却することが望ましいですが、どちらか一方が住み続ける場合もあるでしょう。
もし、どちらか一方が家に住み続ける場合は、それに合わせた手続きが必要になります。
今回は、離婚後も家に住み続ける場合に必要な手続きや財産分与の方法について解説します。

この記事の執筆者

このブログの担当者 木下 康裕

株式会社キーポイント代表取締役
タワマン・マンション・戸建て・土地・事業用の不動産売却・購入をご担当させて頂きます。不動産経験15年以上、大手不動産会社出身の担当者がワンツーマンでお客様の不動産売却をお手伝いします!!私は一度きりのお取引で終わるのではなく末永くおつきあい頂ける仲介を目指しております。不動産のことなら、お気軽にご相談をお待ちしております。

離婚後も家に住み続けるか売却するかで財産分与の方法が異なる

離婚後も家に住み続けるか売却するかで財産分与の方法が異なる

離婚をする際には、夫婦で一緒に築いてきた財産を分け合う「財産分与」をおこないます。
家や土地といった不動産も財産分与の対象ですが、売却するか住み続けるかによって手続き方法が異なります。
ここでは、不動産の財産分与について、売却する場合と住み続ける場合、それぞれの方法を解説します。

不動産を売却する場合

離婚をきっかけに家を売却する場合、得られた売却代金を夫婦で分け合うことになります。
たとえば、住宅を4,000万円で売却できた場合は、原則として2,000万円ずつ夫婦で平等に分配します。
不動産を売却すれば、どちらか一方が住み続ける場合のように、ローンの滞納などを心配する必要がありません。
そのため、将来的なトラブルを回避しやすく、お互いにすっきりとした状態で新生活をスタートできる点が大きなメリットです。
また、家に関して連絡を取り合う必要もなくなるので、精神的な負担も軽減されます。
なお、不動産の売却方法には、「仲介」と「買取」の2種類があり、状況に応じて選択することが大切です。

●仲介:不動産会社が間に入って買主を探す方法
●買取:不動産会社に直接物件を売却する方法


仲介のメリットは、市場価格に近い金額で売れる可能性が高いことです。
ただし、いつ売却できるかがわからず、買主が見つかるまでに時間がかかることもあります。
一方で、買取は不動産会社に直接物件を売却するため、現金化までが早いのが特徴です。
仲介に比べると、売却価格はやや低めになりますが、売却を急いでいる方にはおすすめの方法です。

夫婦どちらかが住み続ける場合

家を売却せずに、離婚後どちらか一方がその家に住み続ける場合には、まず不動産の評価額を明確にすることが重要です。
評価額とは、現在その家がいくらの価値があるかを示す金額で、不動産会社に査定を依頼することで算出できます。
評価額がわかったら、それをもとに財産分与をおこないますが、この場合は家に住み続ける側がもう一方の配偶者に対して、評価額の半分相当を現金などで支払うのが一般的です。
また、住宅ローンが残っている場合には、不動産の評価額から残債を差し引く必要があります。
たとえば、家の評価額が4,000万円で、住宅ローンが800万円残っているとしましょう。
この場合、まず評価額4,000万円からローンの残り800万円を差し引き、実質的な資産価値は3,200万円となります。
したがって、財産分与の対象となるのは、この3,200万円であり、家に住み続ける側は、出ていく側にその半分である1,600万円を支払うことになります。

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離婚後も家に住み続けるメリットとデメリット

離婚後も家に住み続けるメリットとデメリット

リスクを考えると、離婚時には家を売却するのが賢明ですが、住み続けることを希望する方もいらっしゃるでしょう。
後悔しないためには、離婚後も家に住み続けるメリットとデメリットを知ったうえで判断することが大切です。
ここからは、離婚時に家を売却せずに、どちらか一方が住み続ける場合のメリットとデメリットを解説します。

離婚後も家に住み続けるメリット

離婚後も今の家に住み続けるメリットは、生活環境を変えずに済むことです。
とくに、子どもがいる家庭では、この点が非常に重要です。
引っ越すことで学区や友人関係が変わってしまうと、親の離婚という大きな出来事にくわえて、子どもにさらなるストレスを与える可能性があります。
住み慣れた環境で過ごすことは、子どもの精神的な安定にも繋がります。
また、家を資産として手元に残せるのも大きなメリットです。
不動産は、高額な財産であり、将来的に子どもへ相続させたいと考える方も多いでしょう。
売却せずに所有を続けることで、家を子どもの将来に活かすことができます。

離婚後も家に住み続けるデメリット

住宅ローンを完済していれば、とくに大きな問題はありませんが、ローンが残っている場合は注意が必要です。
たとえば、ローン名義人である夫が家を出て妻が住み続けるケースでは、夫が返済を滞らせると家が差し押さえられ、競売にかけられる可能性があります。
離婚時の話し合いでは、きちんと返済することを約束したとしても、病気や失業によって支払いが困難になることは珍しくありません。
また、妻が連帯保証人になっている場合は、夫の滞納分を請求されるリスクもあります。

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離婚後も夫婦どちらかが家に住み続ける場合の手続き方法

離婚後も夫婦どちらかが家に住み続ける場合の手続き方法

前章で解説したように、住宅ローンが残っている家に住み続けるとリスクが生じます。
トラブルを回避するには、お互いでよく話し合うことはもちろん、状況に応じた手続きが必要です。
最後に、夫婦のどちらかが家に住み続ける場合に必要な手続きについて解説します。

債務者である夫が住み続ける場合

夫が住宅ローンの名義人で、離婚後もそのまま家に住み続ける場合は、まず連帯保証人が誰になっているかを確認しましょう。
よくあるのが、夫がローンを組んで、妻が連帯保証人になっているケースです。
このままだと、夫がローンを払えなくなったとき、妻に支払い義務が発生してしまいます。
こうしたトラブルを防ぐには、まず金融機関に相談して、妻を連帯保証人から外す手続きが必要です。
代わりの保証人が見つからない場合は、連帯保証人が不要な「保証会社利用型のローン」へ借り換える方法もあります。

夫が債務者で妻子が住み続ける場合

住宅ローンは基本的に、ローンを組んだ本人(債務者)が住むことを前提に組まれています。
そのため、債務者でない方が離婚後に家に住み続けると、契約違反になる可能性があります。
最悪の場合、一括返済を求められることもあるため、離婚が決まったら早めに金融機関へ相談しましょう。
また、ローンの支払いが滞って家が差し押さえられるリスクもあるので、公正証書を作成しておくと安心です。
公正証書とは、公証人という専門家が内容をチェックし、公的に証明してくれる法的に強い書類のことです。
公正証書を作成しておけば、返済が滞った場合に、裁判をせずに財産を差し押さえることができるようになります。

夫婦の共有名義の家に妻子が住み続ける場合

夫婦2人でローンを組んでいる場合も、どちらか一方が家を出ると契約違反になる可能性があります。
また、共有名義の場合は、夫がローンの返済を止めると、妻に2人分の返済義務が生じてしまいます。
このようなリスクを回避するためにも、ローンの名義変更または借り換えを検討しましょう。
共有名義から妻の単独名義に変更すれば、夫が滞納することで支払いの負担が増えるリスクを減らせます。
単独名義への変更が認められない時は、ローンの借り換えによって、妻の単独名義にすることが可能です。
いずれも金融機関の審査や許可が必要なので、離婚が決まったら早めに相談するようにしましょう。

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まとめ

離婚時に家を売るか住み続けるかは、慎重な判断が必要です。
売却すればローンの負担がなくなり、財産を公平に分けやすくなります。
住み続ける場合は、不動産の評価額を基に財産分与をおこない、ローンの名義変更や借り換え、公正証書の作成などの手続きが必要です。
契約違反や滞納といったトラブルを防ぐためにも、早めに金融機関へ相談し、適切な対策を講じましょう。


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