相続時精算課税制度とは?控除の計算方法についても解説

相続コラム

相続時精算課税制度とは?控除の計算方法についても解説

生前贈与での節税を考えるなかで、「相続時精算課税制度」がご自身の家族にとって適切な判断なのか不安を感じていませんか。
この制度は累計2,500万円の特別控除など魅力がある一方、相続時に贈与分を合算して精算するため、仕組みを理解せずに選ぶと税負担や手続きで困る可能性があります。
本記事では、制度の概要や適用条件といった基礎知識、贈与税と相続税を含めた計算シミュレーション、そして利用する際に失敗しないための注意点までを解説いたします。
大切な資産を少しでも多く、円満に次世代へ引き継ぐために最適な方法を知りたいという方は、ぜひご参考になさってください。

この記事の執筆者

このブログの担当者 木下 康裕

株式会社キーポイント代表取締役
タワマン・マンション・戸建て・土地・事業用の不動産売却・購入をご担当させて頂きます。不動産経験15年以上、大手不動産会社出身の担当者がワンツーマンでお客様の不動産売却をお手伝いします!!私は一度きりのお取引で終わるのではなく末永くおつきあい頂ける仲介を目指しております。不動産のことなら、お気軽にご相談をお待ちしております。

相続時精算課税制度の仕組みと適用条件

相続時精算課税制度の仕組みと適用条件

相続時精算課税制度を検討する際は、制度の全体像や適用要件からおさえておくことが大切です。
まずは、制度の仕組みや対象者について解説していきます。

制度の概要と贈与の関係性

相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫へ財産を贈与する際に選択できる制度です。
これは、贈与税と将来の相続税を一体のものとして捉え、長期的な視点で資産移転を考える仕組みといえます。
この制度を利用すると、贈与の時点では特別控除額である累計2,500万円の範囲内であれば、贈与税がかかりません。
また、枠を超えた分については、一律20%の税率で税額を計算するというルールが適用されます。
さらに、最終的に相続が発生したタイミングで、生前に贈与された財産と相続財産を合算して税額を精算します。
2,500万円という大きな非課税枠を活用できるため、住宅購入や教育資金など、まとまった資金が必要な時期に援助をおこないやすくなるでしょう。

適用対象者と利用手続き

制度の適用対象となるのは、贈与する年の1月1日時点で60歳以上の父母・祖父母で、受け取る側は18歳以上の子・孫です。
利用するには、初めて適用した年の翌年2月1日〜3月15日に手続きが必要になります。
受贈者の住所地を管轄する税務署へ、贈与税申告書と相続時精算課税選択届出書を提出し、戸籍謄本などで要件を示します。
なお、令和6年の改正で、制度を選んだあと、2年目以降は年110万円以下の贈与は贈与税の申告不要となり、この110万円までの部分については相続時の加算も不要になりました。
そのため、まとまった支援は2,500万円の枠、日常的な支援は年110万円の枠という形で、使い分けもしやすくなっています。

メリットと注意点

相続時精算課税制度を利用するメリットは、早い段階でまとまった資産を移せて、資金計画を立てやすい点にあります。
とくに、値上がりが見込まれる不動産は、相続税の計算が贈与時の評価額でおこなわれるため、上昇分を次世代に残しやすくなっています。
一方で、一度選ぶと同じ贈与者からの贈与は暦年課税に戻せないため、方針は慎重に決めなければなりません。
また、贈与後に資産価値が変わっても基準は贈与時の価額になるため、評価の動きも踏まえて理解しておきましょう。
家族の将来像や資産の種類に合わせて選ぶことで、制度の効果をより引き出しやすくなります。

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相続時精算課税の計算方法と事例

相続時精算課税の計算方法と事例

前章では制度の基本について述べましたが、実際にどれくらい税金がかかるのか知りたいのではないでしょうか。
ここでは、税額の計算方法について解説いたします。

贈与税計算と基礎控除

相続時精算課税制度における贈与税額は、受け取った金額から基礎控除と特別控除を順に差し引き、残額に税率を掛けて算出します。
まず、年110万円までは税金がかからない基礎控除が適用され、これは相続時精算課税を選択していても活用することが可能です。
次に、基礎控除を引いた残額から、前年以前の未使用分を含む累計2,500万円の特別控除枠を差し引きます。
それでも残った金額に対して一律20%の税率を掛けますが、支払った税金は、将来の相続税の前払いという位置づけになります。

相続税額への加算方法

相続が発生した際には、相続時精算課税制度で贈与した財産を相続財産に足して、最終的な税額を計算します。
ポイントは、贈与した財産を「贈与した時点の価額」で持ち戻して合算することです。
まず、相続開始時の預貯金や不動産などに、対象となる生前贈与額の合計をくわえます。
次に、合算後の総額から相続税の総額を出し、すでに支払った贈与税を差し引いて精算します。
支払い済みの贈与税が多ければ還付され、不足していれば不足分だけを納付する流れです。

モデルケースでの計算例

例として、60歳以上の父が30歳の子にマイホーム資金として、1,000万円を贈与したケースを考えます。
1年目は1,000万円から基礎控除110万円を引いて890万円となり、特別控除の範囲内のため贈与税はかかりません。
その後、さらに2,000万円を贈与すると累計が2,500万円を超え、超過分に税率20%がかかり贈与税が発生します。
相続時は、生前贈与分を贈与時の価額で持ち戻して相続税を計算し、すでに納付した贈与税額を差し引いて精算します。
なお、暦年課税とは控除や税率の考え方が異なるため、将来の財産規模や家族構成も含めて試算して選びましょう。

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制度活用時に押さえるべき重要な注意点と対策

制度活用時に押さえるべき重要な注意点と対策

ここまで、相続時精算課税制度の計算方法を解説しましたが、実際に制度を利用する前には、注意すべき点についても確認しておきましょう。
最後に、制度活用時のポイントや対策について、解説していきます。

制度選択のポイント

相続時精算課税制度は円滑な資産承継に役立ちますが、制度の全体像をしっかりと把握して活用しましょう。
一度この制度を選択すると、その贈与者との間では暦年課税に戻すことができない点には注意が必要です。
そのため、長期的なライフプランや家族構成の変化も視野に入れ、慎重に判断することが大切です。
また、ご自宅の敷地などについては、土地の評価額を減額できる「小規模宅地等の特例」がありますが、この特例は相続時精算課税制度で生前贈与した宅地には適用できません。
そのため、この特例の適用要件を満たす不動産を贈与する場合は、将来的な相続税への影響を考慮し、慎重に判断することが大切です。

納税資金と手続きの注意

生前に多くの財産を移転することができますが、相続発生時にはそれらを合算して税額を計算するため、まとまった納税資金が必要になることがあります。
注意点として、生前贈与された財産は原則として物納の対象外となるため、納税は現金でおこなえるよう準備を整えておくことが重要です。
不動産など、現金化に時間がかかる資産が多い場合は、生命保険を活用したり、計画的に預貯金を残したりして対策しましょう。
あわせて、贈与契約書や申告書の控えなどを整理して保管し、いつ誰にいくら贈与したかを一覧にしておくとわかりやすくなります。

生前贈与比較と相談時期

検討する際は、暦年課税と比べて、それぞれの特徴を理解したうえで選ぶことが大切です。
毎年110万円の基礎控除を積み重ねる暦年課税か、必要な時期に大きく移す相続時精算課税かを整理して比較しましょう。
相続財産の規模や、住宅取得や教育など、資金が必要になる時期に合わせて数字でシミュレーションするのがおすすめです。
なお、どちらが家族に合うかは状況によって異なるため、具体的な金額で確認すると判断がしやすくなります。
迷う場合は、税理士などに早めに相談し、最新の税制とご家庭の事情を踏まえたプランに落とし込むと良いでしょう。

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まとめ

相続時精算課税制度は、60歳以上の祖父母などから18歳以上の子や孫へ、累計2,500万円まで非課税で生前贈与ができる便利な仕組みです。
贈与税は、年110万円の基礎控除と特別控除を引いた残額に一律20%かかりますが、将来の相続発生時にすべて合算して最終的な税額を精算します。
一度選択すると暦年課税には戻せないため、将来の納税資金や資産価値の変動も考慮し、専門家と相談して慎重に判断すると良いでしょう。


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