店舗併用住宅の売却について!売りにくい理由や控除の特例も解説

売却コラム

店舗併用住宅の売却について!売りにくい理由や控除の特例も解説

店舗併用住宅を売却する際は、一般の住宅と異なる点が多く、慎重な判断が必要です。
居抜き物件として売却できるケースもあり、条件次第で有利に進められる可能性があります。
しかし、住宅ローンの制約や購入希望者の少なさが、売却の難しさにつながることもあります。
本記事では、店舗併用住宅の売却のポイントや、売りにくい理由、適用される控除の特例について解説します。

この記事の執筆者

このブログの担当者 木下 康裕

株式会社キーポイント代表取締役
タワマン・マンション・戸建て・土地・事業用の不動産売却・購入をご担当させて頂きます。不動産経験15年以上、大手不動産会社出身の担当者がワンツーマンでお客様の不動産売却をお手伝いします!!私は一度きりのお取引で終わるのではなく末永くおつきあい頂ける仲介を目指しております。不動産のことなら、お気軽にご相談をお待ちしております。

店舗併用住宅の売却は可能?

店舗併用住宅の売却は可能?

店舗併用住宅は、住宅部分と店舗部分が一体となっているため、売却が難しいと感じられることもあります。
しかし、適切な方法とポイントを押さえて取り組めば、円滑に売却できる可能性があります。
たとえば、立地条件や建物の使い勝手を丁寧に調査することで、店舗としての魅力を効果的にアピールでき、買主を引きつけやすくなります。

居抜き

売却方法としてよく利用されるのが「居抜き」です。
この方法は、店舗部分の設備や内装をそのまま引き渡すため、売主と買主の双方にメリットがあります。
それにより、売主にとっては撤去が不要となり、解体費用や手間を省けます。
専門的な設備は、撤去費用が高額になるため、居抜きでの売却はコスト削減に有効です。
また、買主も同業種で開業する場合、既存の内装や設備を活用できるため、初期投資や準備期間を大幅に抑えられます。
さらに、新たな設備導入の時間や労力を省けるため、スムーズな事業開始が期待できるでしょう。
ただし、居抜きでの売却を成功させるには、設備の状態を事前に点検し、買主がすぐに事業を始められるように整備しておくことも大切です。

メリット

店舗併用住宅の売却には、メリットがあります。
たとえば、自宅兼店舗を希望する自営業者や小規模ビジネス志望者など、明確なターゲットが存在し、適切なマーケティングで効率的に買主を見つけられます。
さらに、投資家にとっても魅力的です。
また、1階を店舗、2階を居住スペースとして賃貸すれば、安定した家賃収入が得られます。
それにより、立地が良ければテナント需要が高く、長期的な収益も期待できます。
また、居住用部分に対する譲渡所得の3,000万円特別控除など、税制上の特例を受けられる場合があります。
ただし、店舗部分は対象外となるため、専門家への相談が重要です。
さらに、市場流通が少ない希少性から、特定のニーズを持つ買主には魅力的な選択肢となり、売却のチャンスが広がります。
また、物件広告や内見時に店舗機能のアピールポイントを明確に示すことで、興味を持つ層を効率的に集客できるでしょう。
このように、店舗併用住宅の売却は、戦略とターゲット設定次第で円滑に進められます。
そのため、専門家のアドバイスを受けながら、最適な方法を検討することが大切です。

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店舗併用住宅が売りにくいといわれる理由

店舗併用住宅が売りにくいと言われる理由

店舗部分と住宅部分が一体となっているため、売却が難しいといわれることがありますが、ポイントを押さえれば円滑に進められます。
一方で、店舗部分を必要としない一般の住宅購入層からは敬遠されやすく、買主を見つけるまでに時間がかかる点は否めません。

住宅ローン

店舗併用住宅の売却が難しい理由の一つに、住宅ローンの利用制限があります。
一般的に、住宅ローンは居住用部分にのみ適用され、店舗部分には使えません。
そのため、購入希望者は店舗部分の資金を自己資金や事業用ローンで賄う必要があり、資金調達のハードルが上がります。
住宅ローン控除を受けるには、居住用部分が建物全体の50%以上であることが条件です。
これを満たさないと優遇を受けられず、購入意欲が低下する可能性があります。
さらに、店舗部分には事業用ローンが必要で、金利が高く融資期間も短い傾向があります。
そのため、月々の返済負担が増し、購入希望者にとってリスクが高まります。
また、店舗部分が広いほど住宅用の割合が小さくなり、ローン利用の制約が大きくなる可能性があります。

需要

店舗併用住宅の需要は、一般的な住宅より限定的です。
それにより、自営業者や小規模ビジネスを営む方に限られ、購入希望者が少ないのが現状です。
さらに、オンラインショッピングの普及などで実店舗の必要性が低下し、売却活動が長期化しやすい点も課題です。
そして、用途が特定の業種向けに特化している場合、他業種には改装費用がかさみ、購入をためらわれる場合があります。
さらに、近隣の商圏や客足の動向も購入希望者が重視するポイントであり、状況によっては売却に時間を要することがあります。
このように、住宅ローンの利用制限や需要の少なさなどの要因を踏まえ、売却戦略を練ることが大切です。

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店舗併用住宅の売却時に所得税が控除される特例

店舗併用住宅の売却時に所得税が控除される特例

居住スペースと店舗スペースが一体となっているため、売却時の税務処理には特有の注意点があります。
譲渡所得税での3,000万円特別控除の適用を把握することが重要です。
書類上で居住部分と店舗部分を明確に示すため、間取り図や固定資産税の課税明細などを用意しておくとスムーズです。

譲渡所得税

不動産売却で得た利益は、譲渡所得として課税対象になります。
譲渡所得税は、所得税と住民税から構成され、所有期間や物件の用途によって税率が異なります。
一般的に、所有期間が5年を超える場合は、長期譲渡所得として税率が優遇されます。
所有期間が5年を超える居住用財産を売却すると、長期譲渡所得として課税され、課税譲渡所得金額に対して所得税15%、住民税5%で合計20%が適用されます。
復興特別所得税が加算される場合もあります。
5年以下の場合は短期譲渡所得とされ、所得税30%、住民税9%の合計39%が適用されます。
このように、所有期間で税率が変わるため、売却時期の検討が欠かせません。

3,000万円の特別控除

居住用財産を売却した場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
これは、マイホーム売却時の税負担を軽減する制度です。
店舗併用住宅では居住部分にのみ適用されます。
たとえば、床面積が200平方メートルで居住部分150平方メートル、店舗部分50平方メートルの場合、譲渡所得の75%が特別控除の対象です。
居住用部分が全体の90%以上を占める場合は建物全体を居住用として扱い、特別控除を適用できるケースもあります。
ただし、条件があるため、専門家への相談が大切です。

居住用住宅

特別控除の適用には売主自身が住んでいた居住用住宅であることが条件です。
居住期間や実態も考慮されるため、注意が必要です。
たとえば、過去に居住していて現在は賃貸に出している場合、最後に居住していた日から3年目の12月31日までに売却すれば特別控除が適用されますが、この期間を過ぎると対象外となるため注意が必要です.
居住用部分と店舗部分を明確に区分していないと適用範囲が曖昧になる場合があります。
普段から区分をしっかりおこない、記録を残しておくことが望ましいです。
このように、譲渡所得税や特別控除を適用するには、居住部分と店舗部分を明確に区分することが大切です。
適切な税務処理のためにも、専門家に相談することをおすすめします。

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まとめ

店舗併用住宅の売却は可能ですが、居抜きとしての活用や適切な販売戦略が求められます。
住宅ローンの制約や需要の少なさが売却の難しさにつながるため、計画的な対応が重要です。
譲渡所得税の3,000万円特別控除が適用されるケースもあるため、税制優遇を活用しながら売却を進めましょう。


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