旧耐震基準とは?不動産売却しにくい理由と売却方法を解説

売却コラム

旧耐震基準とは?不動産売却しにくい理由と売却方法を解説

旧耐震基準で建てられた不動産を所有している方のなかには、売却できるのか不安に思っている方もおられるのではないでしょうか。
一般的に旧耐震基準で建てられた建物は、新耐震基準と比べて耐震性能が劣るため、売却しにくいとされていますが、まったく売却できないわけではありません。
そこで、旧耐震基準とはなにか、売却しにくい理由や売却方法を解説します。
旧耐震基準の不動産を売却する予定がある方は、ぜひ参考になさってください。

この記事の執筆者

このブログの担当者 木下 康裕

株式会社キーポイント代表取締役
タワマン・マンション・戸建て・土地・事業用の不動産売却・購入をご担当させて頂きます。不動産経験15年以上、大手不動産会社出身の担当者がワンツーマンでお客様の不動産売却をお手伝いします!!私は一度きりのお取引で終わるのではなく末永くおつきあい頂ける仲介を目指しております。不動産のことなら、お気軽にご相談をお待ちしております。

不動産売却前に知っておきたい「旧耐震基準」とは?

不動産売却前に知っておきたい「旧耐震基準」とは?

耐震基準には、「旧耐震基準」と「新耐震基準」の2つがあるのをご存じでしょうか。
このうち、旧耐震基準で建てられている場合は、売却が難しい傾向にあるため注意が必要です。
ここでは、旧耐震基準とはなにか、また新耐震基準との違いを解説します。

旧耐震基準とは

旧耐震基準とは、1981年6月1日よりも前に定められた基準のことをいいます。
正しくいえば、1981年の6月1日に耐震基準が改められ、それ以降を「新耐震基準」と呼び、それ以前を「旧耐震基準」と呼んでいます。
では、ご自身が所有している家がどちらの基準で建てられたかは、どのように判断すれば良いのでしょうか。
新旧のどちらの基準が適用されるかは、工事が着工した日によって異なります。
たとえば、建築基準法が改正される前に建築確認済証が交付されていても、施工日までに工事が開始されなければ、新耐震基準が適用されることになります。
ただし、実際は、古い建物の着工日を知ることは困難です。
そのため、実務上は、建築確認済証の交付日で新旧の判断をおこないます。

新耐震基準と旧耐震基準の違い

新耐震基準と旧耐震基準の大きな違いは、耐震性能です。
耐震性能とは、地震などの揺れにどれだけ耐えられるかという安全性の度合いのことをいいます。
以前の旧耐震基準では、震度5程度の地震が発生した場合、倒壊および崩壊しない建物であることが求められていただけでした。
つまり、それよりも強い地震については想定されていませんでした。
そこで、新耐震基準では、震度5程度の揺れであれば、軽微なひび割れ程度にとどまり、震度6~7程度の大規模地震でも倒壊・崩壊まではしない建物であることとされました。
実際に、1995年(平成7年)に発生した最大震度6を記録した阪神・淡路大震災では、旧耐震基準で建てられた建物には大きな被害が発生したことがわかっています。
このように、旧耐震基準と新耐震基準では、倒壊・崩壊のリスクに大きく違いがあります。

木造住宅は2000年(平成12年)にも法改正がおこなわれている

実は、木造住宅については、2000年に建築基準法が改正されています。
木造住宅は、筋交いと呼ばれる部材と、耐力壁と呼ばれる壁で建物の強度を保っています。
そこで、2000年の改正では、耐力壁をバランス良く配置することと、筋交いの端の部分を金具で留めることが義務付けられたのです。
このため、新耐震基準で建てられた木造住宅のなかにも、2000年(平成12年)改正の現行基準を満たしていない既存不適格建築物が存在しています。

▼この記事も読まれています
不動産売却におけるバーチャルステージングとは?メリットとやり方を解説

旧耐震基準の不動産が売却しにくい理由

旧耐震基準の不動産が売却しにくい理由

旧耐震基準の不動産は、一般的に新耐震基準の不動産よりも売却しにくいといわれています。
ここでは、旧耐震基準の不動産が売却しにくい理由を解説します。

理由①建物が古いから

まず、売却しにくい理由として挙げられるのが、建物が古いことです。
旧耐震基準で建てられた建物は1981年以前の建物です。
老朽化が進んでいる不動産は、そもそも需要が低く、買主を見つけるのは簡単ではありません。

理由②住宅ローン控除が利用できない

不動産を購入する際に多くの方が利用したい制度が、節税効果が高い住宅ローン控除です。
住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高の0.7%を上限として、所得税および住民税が控除される制度です。
しかし、旧耐震基準で建てられた建物は、原則として住宅ローン控除を利用することができません。
なお、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅については、「省エネ基準」に適合する必要があります。
省エネ基準とは、省エネ性能の確保のために必要な建築物の構造および設備に関する基準のことです。
つまり、2024年以降の入居の場合、省エネ基準を満たしていない新築住宅は、住宅ローン控除の対象外となります。
また、2023年末までに建築確認を受けた住宅で、入居が2024年以降となった場合は、借入限度額が3,000万円から2,000万円までに引き下げられています。

理由③地震保険が高額になる

旧耐震基準で建てられた建物は、地震保険が高額になることも売却がしにくい理由です。
地震保険は、耐震等級が高いほど保険料が割り引かれる仕組みになっています。
旧耐震基準は、割引制度が適用されないため、保険料が割高になり、買主が見つかりにくい原因の1つとされています。

▼この記事も読まれています
マンションの売却でよくある失敗事例と失敗しないための対策について解説

旧耐震基準の不動産を売却する方法

旧耐震基準の不動産を売却する方法

旧耐震基準の不動産は、売却が難しいといわれていますが、工夫することで売却できるケースがあります。
ここでは、旧耐震基準の不動産を売却する方法を解説します。
おすすめの売却方法は、以下のとおりです。

●リフォーム費用を売主が負担する
●耐震基準適合証明書を取得する(一戸建ての場合)
●好立地ならそのまま売却する


それぞれの売却方法を見ていきましょう。

売却方法①リフォーム費用を売主が負担する

旧耐震基準の不動産を普通に売り出しても、なかなか買主を見つけるのは難しいでしょう。
そこで、リフォーム費用を売主が負担することで、スムーズに売却できる可能性があります。
なお、売却前にリフォームをおこなうことはおすすめしません。
なぜなら、リフォームをしてもリフォーム費用を回収できるとは限らないためです。
リフォームに投じる資金があるのであれば、「リフォーム費用は売主が負担」として売却条件を提示したほうが、買主は好きなようにリフォームができて、スムーズに売却できる可能性が高くなります。

売却方法②耐震基準適合証明書を取得する(一戸建ての場合)

耐震性能の懸念から買主が見つからない場合は、耐震基準適合証明書を取得する方法もあります。
診断費用は20~50万円で、ほとんどの自治体で補助金が交付されるためおすすめです。
ただし、基準を満たすためには、耐震補強工事をおこなわなければなりません。
工事内容によっては、100~200万円程度必要になります。
耐震基準適合証明書を取得することで、買主が安心して購入できるだけでなく、さまざまな税金が軽減されるなどのメリットが得られます。

売却方法③好立地ならそのまま売却する

旧耐震基準の不動産でも、駅が近かったり、商業施設が近くにあったりする好立地の場合は、問題なく売却できる可能性があります。
多少耐震性能に不安があっても購入したいという方は一定数います。
旧耐震基準だとしても、立地条件が優れている場合は、不動産会社と相談しながら売却方法を検討しましょう。

▼この記事も読まれています
不動産所有者が入院していても売却は可能!売却方法を解説

まとめ

1981年6月1日以前に建てられた建物は、旧耐震基準で建設されており、現行の新耐震基準よりも耐震性能に劣ってしまいます。
また、住宅ローン控除を利用できなかったり、地震保険が高いなどデメリットが多い点も、売却しにくい理由となっています。
そのため、旧耐震基準を売却する際は、リフォーム費用を売主で負担するか、もしくは耐震基準適合証明書を取得することを検討してみましょう。


”売却コラム”おすすめ記事

  • 認知症になった親の不動産は売却できない?成年後見制度についてご紹介の画像

    認知症になった親の不動産は売却できない?成年後見制度についてご紹介

    売却コラム

  • 不動産売却で検査済証がないとどうなる?その場合の売却方法も解説の画像

    不動産売却で検査済証がないとどうなる?その場合の売却方法も解説

    売却コラム

  • マンションを売却して得られる手取りは?計算方法や税金についてご紹介の画像

    マンションを売却して得られる手取りは?計算方法や税金についてご紹介

    売却コラム

  • 不動産売却における司法書士の役割は?依頼のメリットをご紹介の画像

    不動産売却における司法書士の役割は?依頼のメリットをご紹介

    売却コラム

  • 根抵当権が付いた不動産の売却の流れとは?売却時の注意点も解説の画像

    根抵当権が付いた不動産の売却の流れとは?売却時の注意点も解説

    売却コラム

  • 不動産を売るときに確認しておきたい!3つのチェックポイントをご紹介の画像

    不動産を売るときに確認しておきたい!3つのチェックポイントをご紹介

    売却コラム

もっと見る