代襲相続とは?代襲相続が発生するケースや代襲相続人の範囲について解説

代襲相続とは?代襲相続が発生するケースや代襲相続人の範囲について解説

亡くなった方(被相続人)の不動産などの財産は、親から子へ、さらに孫へと順に受け継がれていくのが一般的です。

しかし、相続人がすでに亡くなっている場合、その相続権は代襲相続によって次世代に引き継がれます。
この記事では、代襲相続とはどのような制度で、どのようなケースで発生するのか、そして相続人の範囲について解説します。

この記事の執筆者

このブログの担当者 木下 康裕

株式会社キーポイント代表取締役
タワマン・マンション・戸建て・土地・事業用の不動産売却・購入をご担当させて頂きます。不動産経験15年以上、大手不動産会社出身の担当者がワンツーマンでお客様の不動産売却をお手伝いします!!私は一度きりのお取引で終わるのではなく末永くおつきあい頂ける仲介を目指しております。不動産のことなら、お気軽にご相談をお待ちしております。

代襲相続とは

代襲相続とは

代襲相続とは、相続するはずだった方が相続の開始前に亡くなっていた場合、その子や孫が代わって相続する権利を得る制度です。
そして、相続すべきであった方に代わって相続する権利を得た方を、代襲相続人と呼びます。
高齢化社会の現代では、親より先に子が亡くなるケースも少なくありません。
相続人を速やかに特定して円満に手続きを進めるためには、代襲相続とはどのような仕組みになっているのかを理解する必要があるでしょう。

基礎控除と非課税枠

代襲相続が発生すると、法定相続人の数が変わるため、相続税の計算に影響を及ぼすことがあります。
たとえば、父・母・子・孫2人の構成で、父が亡くなった場合、法定相続人は母と子の2人です。
この場合、相続税の基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算され、合計で4,200万円になります。
一方、子がすでに亡くなっている場合は、孫2人が相続を受ける対象となるため、法定相続人が3人になります。
この場合、基礎控除額は3,000万円+(600万円×3)で、合計4,800万円です。
また、生命保険金や死亡退職金の非課税枠は、500万円に法定相続人の数を乗じて算出されます。
そのため、法定相続人が1人増えると、非課税枠も500万円増加します。
相続税を計算し申告納税する際には、法定相続人を正確に確定させなくてはなりません。

遺留分の取扱い

代襲相続が発生しても、遺留分の取り扱いは変わりません。
遺留分とは、遺言にかかわらず、特定の相続人が請求できる遺産の最低限の取り分です。
孫が相続する場合でも、遺留分を主張する権利があります。
ただし、相続人が被相続人の兄弟姉妹の子である甥や姪の場合、遺留分を主張する権利はありません。
これは、兄弟姉妹にはそもそも遺留分が発生しないためです。

相続放棄をした場合は発生しない

相続が発生した場合、法定相続人は遺産を引き継ぐかどうかを選択できます。
遺産を一切引き継がない場合は、相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きが必要です。
たとえば、父が亡くなり、子が相続放棄を選択した場合、孫は相続人になりません。
これは、相続を放棄した者は、法的に相続人でなかったものとみなされるためです。
法定相続人の数は、相続放棄によって変わることがあるため、相続税の納付時には注意しましょう。

▼この記事も読まれています
相続発生時の遺産分割協議の進め方と起こり得るトラブルについて解説

代襲相続が発生するケース

代襲相続が発生するケース

代襲相続は、相続人が相続を開始する前に相続人が死亡している場合に発生します。
その他にも、相続欠格に該当した方がいる場合や、相続廃除された方がいる場合などにも生じます。
ここでは、それぞれのケースについて具体的にみていきましょう。

相続の開始前に相続人が死亡している

親の相続が発生したときに、その子がすでに亡くなっている場合、子の直系の子孫である孫に相続権が引き継がれます。
また、孫もすでに亡くなっている場合は、さらに次の世代であるひ孫に相続権が引き継がれます。
このように、直系卑属が何世代にもわたって、相続を繰り返されるのが再代襲制度です。
ただし、兄弟姉妹の子である甥や姪は再代襲の対象にならないため、相続権は引き継がれません。

相続欠格に該当した方がいる

法定相続人が相続欠格である場合、その者は相続権を得られず、相続権は直系卑属に移ります。
相続欠格とは、相続人が重大な不正行為をおこなったために相続権を剥奪される制度で、民法第891条に明記されています。
欠格となる事由には、被相続人や他の相続人を死亡させようとした場合や、被相続人が殺害された事実を知りつつ告発や告訴をしなかった場合が含まれます。
また、詐欺や脅迫によって遺言の変更を妨げたり強制したりした場合や、遺言書を偽造・破棄・隠蔽した場合も相続欠格事由に該当します。
相続欠格者の子に相続権が与えられるのは、欠格者の責任を負う必要がないためです。

相続廃除された方がいる

法定相続人が相続廃除された場合、その者は相続権を失い、代わりにその直系卑属が代襲相続人となります。
相続廃除とは、被相続人が遺言書や家庭裁判所の請求を通じて特定の相続人を相続から除外する制度で、民法第892条に明記されています。
廃除事由には、被相続人への虐待、重大な侮辱、著しい非行の3つが含まれます。
相続廃除された者の子に相続権が認められるのは、直系卑属の相続権まで否定する必要がないためです。
この制度によって、血縁関係に基づく相続権が保護されます。
ただし、相続廃除は被相続人が生前に取り消す意思を示した場合に限り取り消しが認められます。
廃除が取り消されると、相続人としての権利を取り戻すことができるため、子に相続権は生じません。

▼この記事も読まれています
相続した不動産が未登記だった際の相続方法やデメリットついて解説

代襲相続人となる範囲

代襲相続人となる範囲

遺言書があれば、その内容を優先して相続がおこなわれますが、遺言書がなければ、民法で定められた法定相続人が遺産を引き継ぎます。
法定相続人になれるのは、配偶者および被相続人の子や父母、兄弟姉妹などの血族です。
主に直系卑属である子や孫が相続人となりますが、兄弟姉妹や胎児も相続人として認められるケースがあります。
ここでは、代襲相続人となる具体的な範囲について解説します。

直系卑属が死亡した場合

代襲相続人となる範囲は、基本的に被相続人の直系卑属である子、孫、ひ孫です。
親が亡くなったときに、相続人である子が先に亡くなっている場合、孫が親の財産を相続します。
直系卑属の場合、相続権は再代襲によって次世代に引き継がれ、財産は途切れずに家系内で継承されます。
直系卑属は優先的に財産を引き継ぐ第一順位の相続人であるため、代襲相続が発生する最も典型的な範囲です。

兄弟姉妹が死亡した場合

直系卑属以外に、兄弟姉妹の甥や姪が相続人となるケースもあります。
被相続人が亡くなり、相続人となるはずの兄弟姉妹が相続開始前に亡くなっていた場合には、その兄弟姉妹の子である甥や姪が相続権を持ちます。
ただし、甥や姪もすでに亡くなっている場合、甥や姪の子には相続権が認められません。
直系に対して、兄弟姉妹などの横に分かれた親戚関係を傍系(ぼうけい)といいます。
傍系は、基本的に直系とは独立して生計を維持しているため、相続権は一代限りで引き継がれます。
したがって、子や孫のように、何代にもわたって相続権が発生するわけではありません。

胎児が存在する場合

相続人の範囲には、まだ生まれていない胎児も含まれます。
法律上、胎児も財産を引き継ぐ権利を持つとされており、相続が開始する時点で胎児が存在する場合、出生後に相続人としての地位と権利が認められます。
これは、胎児が出生した際に相続人としての権利を保障するための措置であり、家族の財産が公平に分配されるようにするためです。
ただし、不幸にも死産となった場合には、相続権は認められません。

▼この記事も読まれています
数次相続とは?不動産の相続前に知っておきたい注意点をご紹介

まとめ

代襲相続とは、本来相続人となるべき方が相続の開始前に亡くなっている場合や、相続欠格や相続廃除があった場合に、その子や孫が代わりに遺産を引き継ぐ仕組みです。
相続人の状況に応じて、相続税の基礎控除額や非課税枠が変わる可能性があります。
納税手続きを正確におこなうためには、相続人を適切に確定するのが大切です。