相続では現金と不動産はどっちが得?メリットとデメリットを解説
相続財産の種類によって節税効果や活用方法に違いがあります。
不動産を引き継ぐとき、被相続人の大切な財産を無駄にしないためにも、そのまま引き継ぐのと現金化するのとどちらが良いのか悩む方は多いでしょう。
本記事では、相続するときに現金と不動産のどっちが得かお伝えしたうえで、それぞれのメリットとデメリットを解説します。
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相続するなら現金と不動産どっちが得?
一般的には、相続税を節税しやすいため、現金よりも不動産を相続したほうが得といわれています。
不動産のほうが現金よりも相続税を減らせる理由は、相続税の計算のしくみと相続税評価額において違いがあるためです。
そもそも相続税の計算方法の流れとして、被相続人の総財産から課税価格の合計額を計算・合計額から基礎控除額を差し引く・差し引いた額に相続税率をかけて相続税の総額を計算します。
ここでいう基礎控除額の計算方法は「3,000万円+法定相続人×600万円」で、相続税率は10〜55%の累進課税制度によって確定します。
続いて、相続税の総額から取得した財産の額ごとに相続人に分配・分配された金額に税額控除などの特例を適用させて納税額が確定する順序です。
相続財産に対する有効な節税は、被相続人の財産から合計する課税価格を減らす方法であり、ここで重要になるポイントが不動産と現金の相続税評価額の違いです。
たとえば、被相続人が所有していた5,000万円分の預貯金を相続する場合、相続税評価額は5,000万円となります。
一方で、被相続人が所有していた評価額5,000万円の価値がある不動産を相続する場合、相続税評価額は5,000万円ではありません。
具体的な金額は国税庁が定める評価方法によって確定しますが、一般的に土地の場合は時価の70%・建物の場合は時価の50〜60%ほどになります。
つまり、評価額5,000万円の価値がある不動産は、2,500万円の財産として相続税が加算される可能性があるため高い節税効果が期待できます。
相続税の税率は一律ではなく、法定相続分の取得金額に応じて変動し、取得金額が高いほど税率は高いです。
ちなみに相続税評価額が5,000万円の場合は20%、相続税評価額が2,500万円の場合は15%です。
さらに預貯金を相続するのであれば税額控除などの特例を適用するのがむずかしいですが、不動産であれば小規模宅地等の特例や相続空家の3,000万円の特例などを適用できる可能性が高いです。
不動産の減税措置の特例は要件が厳しく設けられていますが、すべての要件を満たしていれば各相続人が取得した相続財産からさらに減額して納税額を計算できます。
このような理由から、相続するのであれば現金よりも不動産が得と言われています。
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不動産相続のメリットとデメリットについて
不動産相続のメリットは、不動産の評価額を時価よりも大幅に安く抑えられる点と小規模宅地等の特例で節税効果が期待できる点です。
不動産の相続税の基準は、時価から50〜70%ほど差し引かれた評価額で確定するため、現金と同じ価値を不動産で相続したほうが節税効果が高いです。
ちなみに、相続が確定した時点で賃貸物件として貸し出しをしているのであれば、相続税評価額はさらに低くなる可能性があります。
賃貸収入を取得し続けながら、相続人の相続税負担を軽減できるため、2つの観点から経済的な負担をかけずに済むためメリットは大きいといえるでしょう。
また、建物が立っている敷地に対しては一定の要件を満たすと小規模宅地の特例が適用できて、最大80%ほど不動産評価額を減額できます。
小規模宅地の特例とは、不動産のような高額財産に対して相続税の支払いが負担になるとの理由で自宅を手放さなければならない事態を防ぐために発足された制度です。
被相続人の配偶者や子どもなど、残された家族が経済的な負担を軽減できるとされています。
不動産相続のデメリットは、法定相続人全員の合意なしでは売却できない点と納税額の負担が大きい点です。
複数人で相続する場合は、不動産のように物理的に分配がむずかしい財産を管理するのはトラブルの原因になりやすいといわれています。
なぜなら、法定相続人の全員が合意しない限り、不動産の売却・運用・処分は認められないからです。
相続した不動産を売却して現金化したい方と思い入れのある場所だからしばらくは維持費を払いながら残したいと考える方がいると、売却手続きはできません。
遺産分割協議の時点で、不動産の管理についても話をしておき、共有名義になってから意見の食い違いが起こらないように対策をしておきましょう。
また、不動産を相続した場合は翌年にまとまった相続税の支払いが発生します。
現金であれば相続税が高くても引き継いだ財産から納税できますが、不動産の場合は相続人の預貯金から納税しなければなりません。
不動産は時価よりも安く済むとはいえ数百万円単位になる可能性がある点を理解しておきましょう。
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現金を相続するメリットとデメリット
現金を相続するメリットは、遺産分割協議の公平性が保たれる点と不動産管理の負担が軽減される点です。
どの種類の財産を相続するにしても基本的には法定相続人との遺産分割協議が必要になりますが、物理的に分配がむずかしい不動産と比べると現金は公平性を保ちやすいとされています。
預貯金3,000万円を3人で相続するのであれば1人あたり1,000万円ずつ取得すれば、平等です。
しかし、評価額3,000万円の不動産を3人で相続したら各相続人が1/3ずつ所有権を持てるものの、売却・運用・処分をする決定には全員の合意が求められます。
独断で所有権を引き継いだ財産を自由に取り扱えるわけではないため、現金で取得した方が、使い道の選択肢が広がります。
将来のための貯金・投資・相続税の支払いなど、各相続人ごとに取得した財産を使える自由度の高さは魅力といえるでしょう。
また、不動産を所有するとなれば維持費や固定資産税の支払いがあるだけではなく、誰も住む予定がなければ定期的にクリーニングやメンテナンスの管理が必要です。
空き家を管理せずに放置すると法的にペナルティの対象になるため、共有名義で所有している不動産は諸費用の支払いや管理のバランスが偏りやすいです。
負担を減らすために売却や処分をしようにも、遺産分割協議がまとまらないのであれば実行できません。
その点、現金であれば各相続人に平等な金額が分配されるため、全員で何かを決めたり管理したりする必要がなく、負担を感じずに済みます。
現金を相続するデメリットは、不動産と比べると相続税の支払額が高額になる点です。
不動産の場合は相続税評価額が時価の50〜70%で換算されますが、現金の場合は取得した金額に対して相続税評価額は100%換算されます。
不動産ほど特例が利用できるわけでもなく、節税にはならないため、相続税の負担を軽減したいのであれば現金での相続は向いていません。
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まとめ
相続財産を引き継ぐときは、現金よりも不動産の方が相続税の節税効果が高いためお得といわれています。
現金の場合は取得金額に対して相続税評価額が確定しますが、不動産の場合は時価に対して土地は70%・建物は50〜60%で相続評価額が確定するためです。
法定相続人と一緒に、被相続人の不動産をどうするべきか話し合ったうえで、最適な選択をしましょう。
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