相続人がいない「相続人不存在」!遺産の行先や手続きを解説
被相続人の保有していた不動産など、財産を受け継ぐ相続人がいない状態を「相続人不存在」と呼びます。
相続人不存在は、国庫に遺産が帰属される可能性がありますが、生前お世話になった方に相続させる方法もあるため、元気なうちに検討しておくことは大切です。
そこで今回は、相続人不存在の概要や、相続人不存在のケースでの遺産の行先などについて、解説します。
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相続人不存在とは?法定相続人がいない場合など該当ケースを解説
不動産など、大切な財産を相続する方がいない場合に備えておきたいのが、相続人不存在に関する知識です。
まずは、相続人不存在とは、どのような状態を指すのかなど、概要から解説します。
相続人不存在とは?
相続人不存在とは、簡単にいうと、被相続人の遺産を受け継ぐ方がいないことです。
人が亡くなると、相続が発生し、被相続人の遺産は相続人に受け継がれることになります。
しかし、すべてのケースで相続人が存在するわけではなく、一人もいない状態もあります。
このように法定相続人がいない状態、あるいは法定相続人はいるものの、なんらかの事情によって相続人が受け継がない、受け継ぐことができない状態が相続人不存在です。
相続人不存在となる3つのケース
相続人不存在とは、「法定相続人がいない」「相続人が相続放棄をした」「欠格・廃除」の3つに分けられます。
法定相続人がいない
法定相続人とは、民法によって定められた相続人を指し、法定相続人には優先順位も決められています。
被相続人の配偶者については、常に相続人の位置付けです。
第一順位は子で、第二順位は父母、第三順位は兄弟姉妹と定められています。
第一順位の相続人がいないときは、第二順位の人物が相続人になるといった仕組みです。
第一順位である子と、第三順位の兄弟姉妹が故人である場合は、その子が代わりに受け継ぐことができる代襲相続があります。
つまり、法定相続人がいないケースとは配偶者・子・親・兄弟にくわえて、代襲相続する方もいない状態です。
法定相続人が存在しないケースは、相続人不存在の代表的な例といえます。
相続人が相続放棄をした
相続では、相続人は不動産などのプラスの財産のほかに、被相続人に借金などがあれば、そのマイナスの財産も受け継ぐことになります。
相続放棄とは、マイナスの財産だけでなく、プラスの財産の相続権も含めて放棄をすることです。
預貯金があっても、負債のほうが大きく、相続人が受け継ぎたくないと考えるときなどに、法定相続人でも相続放棄ができます。
すべての法定相続人が相続放棄をした場合、相続人不存在の状態です。
欠格・廃除
相続人不存在には、欠格や廃除により、法定相続人が1人もいないケースも含まれます。
相続人が自分の考えに基づいて相続放棄をするのに対し、欠格・廃除は、相続人として適切ではない場合に、相続権を剥奪されることです。
欠格とは、被相続人の殺害や、被相続人に詐欺や脅迫をおこない遺言行為を妨げるなどした者が、法定相続人の資格を奪われることです。
廃除とは、被相続人に虐待や侮辱行為などをおこなった法定相続人が相続権を失うことを指します。
なお、廃除は被相続人の生前の意思に基づいて、家庭裁判所に請求をして認められると、相続権の剥奪がおこなわれます。
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大切な相続財産!相続人不存在のときの遺産の行先を解説
不動産などの大切な資産を相続する人がいない場合、遺産の行先は気になるポイントです。
相続人不存在であるときの遺産の行先には、3つのパターンがあります。
遺言書にそって遺贈する
故人である被相続人が、生前に作成した遺言書を遺していた場合、記載内容で遺贈について定められていれば、遺産は指定されている方が受け継ぐことになります。
遺産を受け継いだ「受遺者」は、個人・法人を問わず指定することが可能です。
友人やヘルパーの方に遺贈するケースのほか、慈善団体や母校への寄付をするケースも見られます。
法定相続人がおらず、遺産の行方が不安な場合など、遺言書を作成することによってお世話になった人を指定することもできます。
特別縁故者への財産分与
特別縁故者とは、被相続人と特別の縁故がある人のことを指しますが、特別縁故者となるには、家庭裁判所から認められることが必要です。
たとえば、被相続人と生計をひとつにしていた内縁の配偶者や、報酬を得ずに被相続人の介護や看護をしていた方などです。
そのほかにも、師弟関係などの特別なつながりのあった方が、特別縁故者となる可能性があります。
相続人不存在の場合に、遺産を受け取る権利が、特別縁故者に生じます。
なお、特別縁故者が財産分与をのぞむときには、家庭裁判所に申し立ての手続きが必要です。
国庫に帰属
被相続人が生前に作成した遺言書がないため、遺贈がおこなわれず、特別縁故者もいないケースがあります。
このような場合には、遺産は国庫へ帰属される流れです。
特別縁故者がいる場合でも、分与を認められるのが、一部のみとなるケースもあります。
その際は、財産分与後に残った遺産は、国庫に帰属されることになります。
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相続の前に知っておきたい!相続人不存在の手続きをご紹介
相続人不存在となるケースでは、被相続人の遺産の管理をおこなう相続財産清算人を選任するなど、いくつかの手続きが必要です。
最後に、被相続人となる方も押さえておきたい、相続人不存在の際に必要となる手続きの流れをご紹介します。
相続財産清算人の選任
相続人不存在の場合、最初におこなわれるのは相続財産清算人の選任です。
手続きは、相続の利害関係者や検察官が家庭裁判所に対し、申し立てをおこなうことにより開始されます。
弁護士などの専門家が選ばれることが多く、管理人の役割は、遺産の管理や処分をおこなうことです。
家庭裁判所は相続財産清算人の選任について公告します。
また、相続人捜索の公告も、6か月以上の期間設定をしておこなうことが必要です。
その相続人捜索の公告は、家庭裁判所が相続人に申し出るように求めるものになります。
債権申立ての公告
ほかにも家庭裁判所が実施するのが、債権申立ての公告です。
これは、被相続人に対する債権者や受遺者に申し出るように求める手続きで、2か月以上の期間を設定します。
期間が満了すると、遺産を用いて債権者と受遺者に弁済がおこなわれ、遺産が弁済によってなくなったときには、相続財産の清算手続きも終わります。
相続人不存在の確定
相続人捜索の公告で、設定した期間の満了までに相続人が現れなかった場合、相続人不存在が確定される流れです。
一方、期間中に相続人が申し出たときには、相続人に遺産が受け継がれるため、相続財産清算の手続きも終わります。
特別縁故者への財産分与の申立て
特別縁故者として主張する人が、財産分与の申し立てをおこなえるのは、相続人不存在が決まってから3か月以内です。
家庭裁判所は審判をおこない、特別縁故者に財産分与を認めた場合、遺産の額などを定めます。
審判の確定後、相続財産清算人によって、特別縁故者に分与が実施されます。
国庫に帰属
このような手続きを経て後、相続財産清算人がおこなうのが、報酬付与の申し立てです。
家庭裁判所により決められた報酬を「相続財産清算人」が得ます。
報酬が支払われたあとも、財産が残った場合には、相続財産清算人が手続きをして、国庫に残った財産が帰属される流れです。
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まとめ
被相続人に遺産を受け継ぐ相続人が一人もいない場合、相続人不存在のケースです。
相続人不存在のときも、生前のうちに、お世話になった人など特定の人へ遺贈する旨の遺言書を作成することが可能です。
法定相続人がおらず、不動産などの大切な遺産の行方が不安なケースでは、遺贈は有効な選択肢のひとつとなり得るでしょう。
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