相続の単純承認とは?相続の手続きや単純承認と見なされるケースを解説

相続コラム

相続の単純承認とは?相続の手続きや単純承認と見なされるケースを解説

不動産を相続する予定がある方のなかには、相続方法でお悩みの方もいるのではないでしょうか。
相続するまでに日にちに余裕があっても、今後の計画のためにも相続方法は早く決めたいと思う方がほとんどでしょう。
こちらの記事では、財産を相続するときの単純承認について詳しくご紹介します。
将来不動産の相続をする予定の方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の執筆者

このブログの担当者 木下 康裕

株式会社キーポイント代表取締役
タワマン・マンション・戸建て・土地・事業用の不動産売却・購入をご担当させて頂きます。不動産経験15年以上、大手不動産会社出身の担当者がワンツーマンでお客様の不動産売却をお手伝いします!!私は一度きりのお取引で終わるのではなく末永くおつきあい頂ける仲介を目指しております。不動産のことなら、お気軽にご相談をお待ちしております。

相続する前に知っておきたい単純承認とは?

相続する前に知っておきたい単純承認とは?

単純承認とは、被相続人が残したプラスの財産とマイナスの財産を分け隔てなく、そのまますべて引き継ぐ方法のことです。
特別な手続きの必要がないため、手続きのためにさまざまな書類を取得する手間を省くことができます。
また、相続する財産を確認したら相続人の間で分割の協議ができるので、裁判所への書類の提出などは必要ありません。
しかし、単純承認は故人の財産をすべて相続するため、故人がマイナスの財産を抱えていた場合は注意が必要です。
マイナスの財産が多い場合、相続人本人の財産から不足分を補う必要があります。
思わぬ負債を抱える可能性があり、相続する財産の全容がわからないうちに単純承認を選択するのは、リスクとなるので相続をするときは慎重な判断が求められます。
相続方法の判断基準は、財産をすべて把握したうえで、必要な財産と不要な財産のバランスを確認しましょう。
もし、プラスの財産がマイナスの財産より低い場合、相殺するとマイナスの財産を引き継ぐ結果になってしまうので注意が必要です。
また、他の相続をする手段として限定承認があり、限定承認とは相続する財産がマイナスにならないように財産を相続人に引き継ぐ相続方法です。
限定承認は、マイナスの財産を一切引き継がないため、引き継いだ財産以上の借金を支払う必要がありません。
限定承認で財産を取得したときは、取得した不動産の価値に相当する金額を支払えば不動産を手元に残せますが、借金を支払えない場合は不動産を売却する必要があります。
しかし、限定承認にもデメリットはあり、1つは相続人が全員でおこなう必要がある点です。
相続人のうち1人でも限定承認に反対する方がいた場合、限定承認はできません。
また、限定承認は余計な税金を支払う必要があったり、裁判所で債務を精算する必要があったりなど、手続きが複雑で時間と手間がかかります。
さらに、相続放棄をする方法もあり、相続放棄をすると財産のすべてを引き継がずに放棄できます。
故人の代わりに借金を支払う必要はなくなりますが、遺産を受け取れなくなるので、注意が必要です。

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相続における単純承認の手続き

相続における単純承認の手続き

相続が必要になったときは、相続の開始および自らが相続人だと知ってから3か月以内に相続をする必要があります。
なお、3か月以内に家庭裁判所に対して、申請をすると、期限の延長が可能です。
また、手続きはありませんが、相続開始を知った日から3か月以内に他の手続きをしないままだと、単純承認をおこなったと見なされるので注意が必要です。
単純承認は、財産が単純で相続人の間で争いがない場合におこなわれます。
手続きの具体的な流れは、まず、相続人が財産の受け取りを裁判所に通知する書面を作成します。
書面に記載する内容は、プラスの財産とマイナスの財産を記載する必要があるので注意が必要です。
書面を作成した後はすべての相続人が書面にサインをする必要がありますが、故人の遺言書が存在する場合は、相続人が指定されているケースもあります。
また、財産の相続人が未成年のときは、法定代理人がサインする必要があるので注意が必要です。
すべての相続人がサインした後、書面を裁判所に提出してから、裁判所が書面を受理するのを待ちましょう。
裁判所が書面を受理すると、遺産分割の手続きが始まり、提出された書面に基づいて裁判所が遺産の分割や債務の精算などをおこないます。
財産の分割が完了したあとは、裁判所や登記官によって財産の登記がおこなわれ、相続人が財産の所有権を正式に取得すると承認の手続きが完了します。
プラスの財産がマイナスの財産より多い場合は、単純承認がおすすめです。
一方、マイナスの財産が多い場合やプラスの財産とマイナスの財産のバランスが分からないなら、相続方法を慎重に検討する必要があります。

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単純承認と見なされるケースについて

単純承認と見なされるケースについて

単純承認には財産を処分する行為をした際、相続人の意思に関係なく単純承認をしたものとみなす、法定単純承認と呼ばれる制度があります。
法定単純承認は、相続が始まってから3か月以内であっても他の相続方法ができないため、他の相続方法を検討するなら一定の行為をしないようにしましょう。
単純承認をしたと見なされるケースの1つは、相続財産を処分したときです。
財産の処分は、他の相続人から相続を放棄しないと思われるため、財産を処分したあとに他の相続方法が許されると他の相続人に対して不義理となります。
他にも、不動産の名義を変更した場合も、単純承認をおこなったと見なされます。
相続による所有権の移転登記は引き継ぐ不動産の権利を行使したと見なされ、不動産に居住していなくても、名義を変更しただけでも法定単純承認が成立します。
また、相続財産をわざと隠蔽したり、財産を使用したりすると、法定単純承認となるので注意が必要です。
被相続人が持つマイナスの財産から相続人を守るための相続方法が、限定承認や相続放棄なので、財産を隠れて消費する行為は債権者の信頼を裏切る行為です。
そのため、財産を隠したり消費したりした相続人については、他の相続方法の手続きをしたあとであっても、法定単純承認が成立します。
単純承認をしたとされる判断がつかない方が多く、なかには故人の葬儀費用を支払ったら単純承認に該当するのではと思う方もいます。
相続する財産から葬儀費用を支払う行為は、財産を処分する行為にはあたりません。
故人の預金を引き出して葬儀費用に充てたとしても、社会的な観点から分不相応に高額でなければ、財産を処分する行為にはあたらないでしょう。
また、相続人が受取人となる生命保険金は、相続する財産ではなく故人固有の財産となるので、生命保険金を受け取った場合でも財産の処分にはなりません。
生命保険金は、受取人の財産となるため、相続放棄をした場合であっても生命保険金は受け取れます。
また、故人の入院にかかった費用の未払いがあった場合では、故人の財産から入院費を精算すると、財産を処分したと見なされる場合があるので注意が必要です。
一方、相続人が自らの財産から未払いの入院費用を支払えば、故人の財産を処分した行為とは見なされないでしょう。
また、クレジットカードや携帯電話の解約をする行為は、財産から余計な支出を抑えるものなので、財産の処分とはなりません。
受取人の名義が故人である場合の解約返戻金は、故人の財産に該当するため、相続人が受け取った場合、相続財産を処分したと見なされる可能性があるので注意が必要です。
なお、未受給の年金があるなら、故人が受給者であっても相続財産には該当しないなど例外もあるので、判断に迷うときは専門家に相談しましょう。

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まとめ

相続をするときは、相続方法によっては損失が出る場合もあるので注意が必要です。
不明な点があるなら、実際に相続を開始する前に、単純承認の概要を確認しましょう。
単純承認はプラスの財産もマイナスの財産も平等に引き継ぐ方法で書類などの手続きも少ないため手間はかかりません。


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