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所有者が行方不明の不動産も売却できる?売却方法をご紹介

売却コラム

所有者が行方不明の不動産も売却できる?売却方法をご紹介

不動産を所有する方が行方不明になった場合、その不動産は勝手に売却できないのが原則です。
しかし、特定の方法を用いれば、所有する方の行方がわからないままでも売却ができるようになります。
この記事では、行方不明の方が所有する不動産を売却する際に必要な手続きとその方法をご紹介します。

この記事の執筆者

このブログの担当者  木下 康裕

株式会社キーポイント代表取締役
タワマン・マンション・戸建て・土地・事業用の不動産売却・購入をご担当させて頂きます。不動産経験15年以上、大手不動産会社出身の担当者がワンツーマンでお客様の不動産売却をお手伝いします!!私は一度きりのお取引で終わるのではなく末永くおつきあい頂ける仲介を目指しております。不動産のことなら、お気軽にご相談をお待ちしております。

行方不明の方が所有する不動産の売却前に要チェック!失踪宣告とは?

行方不明の方が所有する不動産の売却前に要チェック!失踪宣告とは?

不動産を所有する方の行方がわからなくなってしまった不動産を売却する際に用いられる方法の1つが、失踪宣告を受けることです。
失踪宣告の概要と申し立ての方法をご紹介します。

失踪宣告とは

失踪宣告とは、行方不明になり生死がわからなくなってしまった方を法律上亡くなったとみなす制度です。
失踪宣告の申し立てには失踪状況を明らかにする必要があり、失踪状況によって以下の2つにわけられます。

●普通失踪
●特別失踪


特別失踪は、危難失踪とも言われ、戦争や自然災害、船舶の沈没などの災難に遭い生死不明になってしまった場合、その災難が去った1年後に申し立てが可能です。
普通失踪は特別失踪に該当しないケースで、行方不明になってから7年以上生死が不明の場合に申し立てができます。
普通失踪の申し立てが承認されると、行方不明になった日から7年経過した日に亡くなったとみなされます。

申し立て方法

失踪宣告を受けるには、行方不明の方の住所地がある家庭裁判所に対して申し立てが必要です。
申し立てができるのは、行方不明の方の配偶者や相続人など、行方不明の方と利害関係にある方に限られます。
ただし、この条件にあてはまらない方でも、利害関係にある方に対して申し立てを委任することは可能です。
申し立てに必要な書類は、申立書と行方不明の方の戸籍謄本・戸籍附票、失踪を証明する資料と申し立てをする方の利害関係を証明する資料です。
くわえて、収入印紙代800円、官報公告料4,816円、連絡用の郵便切手代を負担する必要があります。
家庭裁判所による調査を経て失踪宣告が確定したら、行方不明の方の本籍地か、申し立てをした方が住んでいる地域の市区町村役場に失踪の届出をします。
失踪の届出は失踪宣告の確定から10日以内におこなう必要があるため、届出を忘れないように注意しましょう。
市区町村役場で失踪の届出をする際には、家庭裁判所で交付される審判書謄本と確定証明書が必要です。
自治体によっては戸籍謄本などが必要になるケースもあるため、スムーズに手続きを済ませるためにも事前に市区町村役場に問い合わせて確認しておくと良いでしょう。

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行方不明の方が所有する不動産を売却する方法

行方不明の方が所有する不動産を売却する方法

失踪宣告を受けて失踪の届出をおこなっても、そのままではまだ不動産の売却はできません。
行方不明の方が所有する不動産を売却するために必要な手続きをご紹介します。

相続登記

不動産を売却するには、失踪の届出後に所有者の相続登記が必要です。
失踪の届出をした時点では不動産の所有者はまだ行方不明の方なので、売却する前に法務局で所有者を変更する手続きをしましょう。
相続登記には、以下の書類が必要です。

●登記申請書
●行方不明の方の出生から死去までの戸籍謄本・除籍謄本など
●相続人全員の現在の戸籍謄本
●相続人全員の住民票の写し


これらの書類にくわえ、共同相続人がいる場合は、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書も添付しなければなりません。
さらに、遺言書や固定資産評価証などの提出を求められるケースもあります。
手続きが煩雑になることも多いため、ご自身で手続きができるかどうか不安な場合は弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。
提出した書類に不備がなければ、法務局から登記完了証が届き、相続登記の手続きが完了します。
相続登記が済めば所有者が変更されているため、通常の不動産と同様に売却が可能になります。
また、共有名義人の行方がわからない場合も、失踪宣告後に相続人と話し合い、共有不動産全体の売却や共有者同士の持分売買をすれば共有名義の解消が可能です。

行方不明の所有者が発見されたら?

では、行方不明になっていた方がもし失踪宣告の申し立て後に発見されたら、どうすれば良いのでしょうか。
失踪宣告後に行方不明の方が発見された場合、失踪宣告の取り消しの申し立てができます。
もし失踪宣告が取り消された場合、失踪宣告前の状態に戻すのが原則です。
したがって、不動産が手元に残っている場合、その不動産は本来の所有者である行方不明だった方に返還する必要があります。
しかし、すでに売却してしまった不動産については、本来の所有者に返還する必要はありません。
たとえば、失踪宣告後に行方不明の方が所有していた2つの土地のうち1つを売却したケースを考えてみましょう。
もし行方不明の方が発見された場合、手元に残っている土地は行方不明の方に返却する必要がありますが、すでに売却した土地はそのままで問題ありません。

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行方不明の方が所有する不動産も売却できる!不在者財産管理人とは?

行方不明の方が所有する不動産も売却できる!不在者財産管理人とは?

行方不明になった方が所有している不動産の売却に用いられるもう1つの方法が、不在者財産管理人を選任することです。
不在者財産管理人の概要と、選任から不動産を売却するまでの流れをご紹介します。

不在者財産管理人とは

不在者財産管理人とは、行方不明になった方の代わりに財産を管理する役割を持つ方のことです。
不在者財産管理人を選定すれば、家庭裁判所の許可が得られる範囲において、所有する不動産の売却ができます。
共有名義で行方不明の方がいる場合でも、不在者財産管理人を選定すれば不動産の売却ができるのがメリットです。
また、失踪宣告のように一定の期間を経なくても選定できるうえに、行方不明の方の生死がわかっているかどうかも問われません。
選定には一定の手続きが必要なので労力はかかりますが、行方不明の方が所有する不動産を売却する有効な方法の1つと言えるでしょう。

不在者財産管理人を選任する流れ

不在者財産管理人は裁判所などが選んでくれるわけではないため、まずは候補者を決める必要があります。
不在者財産管理人になるために必要な資格はないため、利害関係者以外の人物なら候補者になれます。
ただし、不在者財産管理人は必要な手続きを円滑に進める必要があるため、弁護士や司法書士のような専門家が選任されるのが一般的です。
候補者が決まったら、家庭裁判所で選任の申し立てをおこないます。
申し立てができるのは、行方不明の方の配偶者や相続人など、行方不明の方と利害関係にある方です。
申立書や行方不明の方の戸籍謄本と戸籍附票などの書類を用意し、収入印紙800円と連絡用の郵便代金を添えて申し立てましょう。
さらに、不在者財産管理人へ支払われる報酬や管理にかかる費用が行方不明の方の財産より多くなる場合は、不足する額を申し立てた方が負担する必要があります。
不在者財産管理人が選定されても、そのままでは行方不明の方が所有する不動産の売却はできません。
家庭裁判所に申請をおこない、権限外行為の許可を得ましょう。
権限外行為の許可が得られれば、不在者財産管理人が行方不明の方の不動産を売却できるようになります。

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まとめ

行方不明の方が所有する不動産を売却するためには、失踪宣告をおこなって相続を発生させる方法と、不在者財産管理人を選任する方法の2つがあります。
どちらの方法も書類を準備して家庭裁判所に申し立てる必要があるため、不安な場合は弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。


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