不動産売却で検査済証がないとどうなる?その場合の売却方法も解説
不動産のなかには、検査済証と呼ばれる書類が付随しているものがあります。
不動産売却の際は、検査済証がある物件のほうがない物件よりも売却しやすいため、必要性は高いといえるでしょう。
今回は、不動産の検査済証とは何か、不動産売却における検査済証の重要性や検査済証がない不動産の売却方法についてご紹介します。
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不動産の検査済証とは何か
不動産取引で必要になる書類ののなかには、売買契約書などとともに検査済証が含まれています。
検査済証とは、該当の不動産が建築当時の法律や法令に違反していないことを証明する書類です。
建築基準に適合していることを証明する
検査済証とは、不動産が建築基準に適合していることを証明する書類です。
建築基準には、建築基準法に定められた法律上の決めごとや、各自治体の法令による決まりなどがあります。
こうした決まりは、不動産の安全性を保証し、建物に居住する方や使用する方の身体や命を守るためにあるのです。
ただし、建築基準関係の決まりは、順次改正や変更がくわえられるため、現行の法律・法令にも適合しているとは限りません。
建築確認や完了検査が必要
建物を建築する際は、建築確認申請をおこなって、建物の設計や建築計画が法律や法令に違反していないことを確認します。
確認が済むと確認済証が発行され、実際に建物の建築が始まるのです。
そして、建築が終わったら、今度は建った建物が本当に法律や法令に違反していないかの完了検査をおこないます。
完了検査によって、法律や法令を遵守していることが確認されれば、検査済証を取得可能です。
したがって、検査済証があれば、建築後に違法な増築などをおこなっていない限り、建築当時の法律や法令にしたがって建てられた不動産であることを証明できます。
すべての不動産が取得しているわけではない
検査済証は、不動産売却などで取引されているすべての不動産が取得しているわけではありません。
なぜなら、検査済証の取得は任意のため、取得しなくても罰則もありません。
また、古い不動産ほど取得率が低く、検査済証がない不動産が多いでしょう。
一方で、建築前の調査に合格していることを示す確認済証については、取得しておかなければなりません。
確認済証がない不動産は、建築確認をおこなっていない可能性が高く、重大な違法建築である可能性があります。
建築の前後どちらに取得した書類なのかによっても、重要性が異なるため注意しましょう。
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不動産売却における検査済証の重要性
すべての不動産が取得しているわけではない検査済証ですが、不動産売却の際はあるのが望ましいです。
検査済証は不動産が違法建築でない証拠になるため、不動産売却でも「購入して良い不動産」であることをアピールできるポイントになるのです。
住宅ローンを使えなくなる可能性がある
不動産売却において検査済証が重要視されるのは、買主の方が住宅ローンを組むのに影響する可能性があるためです。
住宅ローンは、建築上重大な違反がある違法建築物に対しては組めません。
検査済証がある不動産ならば、違反がないことを証明できますが、逆にいえば検査済証がなければ、必ずしも違反していないとはいえなくなります。
住宅ローンを提供している金融機関側も、審査の際に検査済証を提出するよう求めているところが多いです。
検査済証がなくても、ほかの手段で違法建築物でないと証明できれば、住宅ローンは借りられますが、難易度は高くなります。
住宅ローンを借りられないと、買主は自己資金で不動産を購入する必要があるため、不動産売却を勧めにくくなるのです。
違法な不動産は売主だけでなく買主も責任を負うことになる
建築基準関係の法律や法令に違反している不動産は、不動産売却をおこなった方だけでなく、購入した方も責任を負うことになります。
違反が判明したことで、厳しい行政指導や是正命令を受けることになるのは、その時点での所有者の方です。
買主からすると、事情を知らずに不動産を購入しただけなのに、自費で解体工事をおこなわなければならなくなるのです。
そのような状況を防ぐため、適法であることを証明できない検査済証のない不動産は避けられる傾向にあります。
増築や用途変更ができなくなる
不動産売却で検査済証がない不動産が避けられやすいのは、該当の不動産の増築や用途変更が難しいからです。
現時点で適法であることを証明できない不動産は、増築などの建築確認申請を受け付けてもらえません。
検査済証があれば、簡単に適法であることを証明できますが、検査済証がないと難しいです。
そのため、家族が増えた際や用途に合わせて増築する際に、手続きをおこなえない可能性が高まります。
将来的に不動産を改築するのが難しくなるため、検査済証がない不動産は避けられるのです。
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不動産売却で検査済証がない不動産を売る方法
検査済証がない不動産は、買うのも活用するのも難しいため、不動産売却で取り扱う難易度が高いです。
しかし、検査済証がない不動産でも売却できないわけではありません。
不動産売却の際は、ポイントを押さえたうえで検査済証がない不動産を取り扱う必要があります。
中古住宅はそもそも検査済証がないことも多い
検査済証の取得は任意ですので、古い住宅ほど取得していないケースが多いです。
そのため、中古住宅については、はじめから検査済証がないこともあります。
こういった不動産が売却できないというわけではなく、検査済証以外の方法で適法であることを証明できれば売却が可能です。
たとえば、「12条5項報告」と呼ばれる報告を役所に提出すれば、検査済証と同等の効力を発揮します。
金融機関が12条5項報告を以て検査済証の代わりとしてくれるかは、その金融機関によって異なりますが、増築や用途変更については問題ありません。
12条5項報告は、建築主事がいる市役所に提出する必要がありますが、人口が10万人を切ると在籍していない可能性があります。
市役所に建築主事がいない自治体では、都道府県庁で12条5項報告が可能です。
紛失したら再発行はできない
検査済証をすでに発行しているものの、紛失してしまうと再発行はできません。
しかし、検査済証を紛失しても、不動産が適法であることを証明する方法はあります。
検査済証を紛失した物件を不動産売却に出す際は、市町村役場や都道府県庁で台帳記載事項証明書を取得すれば適法性を証明可能です。
台帳記載事項証明書は、該当の不動産が過去に検査済証の交付を受けた物件であることを証明してくれます。
検査済証が発行された不動産とは、つまりその当時の法律や法令を守って建てられた不動産になるため、適法性を証明できるのです。
既存不適格建物は検査済証がなくても適法にできる
建物の建築当時の法律や法令では適法だったものの、これらの改正や施行によって現行の法律や法令に適さなくなった不動産を既存不適格建物と呼びます。
既存不適格建物は、違法建築物ではないものの、今後増築をおこなう際などは現行の基準に適合させなければなりません。
既存不適格建物については、現状検査済証が存在していなくても、不動産売却などの際は適法な物件として扱われます。
扱いに不安があるのであれば、国土交通省による「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」に基づく調査を受けてみましょう。
この方法によって適法性を証明できれば、問題なく不動産を売却できます。
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まとめ
検査済証は、その不動産が建築当時の基準に則った適法な物件であることを示す書類です。
この書類がないと、違法建築物である可能性が拭えず、住宅ローンを組むのが難しくなるなど売却に影響が出ます。
一方で、台帳記載事項証明書の発行などによって適法性を証明できれば、比較的スムーズに売却できるでしょう。
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