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売買契約における手付解除とは?方法や仲介手数料の定めについてご紹介

売却コラム

売買契約における手付解除とは?方法や仲介手数料の定めについてご紹介

不動産の売買契約の際は、売主や買主のさまざまな権利が保証されたうえで取引が成り立ちます。
手付解除もそうした権利の保証のひとつであり、状況によるものの不動産の売買契約のキャンセルが可能です。
そこで今回は、不動産の売買契約における手付解除とは何か、手付解除の方法や仲介手数料の支払いについてご紹介いたします。

この記事の執筆者

このブログの担当者 木下 康裕

株式会社キーポイント代表取締役
タワマン・マンション・戸建て・土地・事業用の不動産売却・購入をご担当させて頂きます。不動産経験15年以上、大手不動産会社出身の担当者がワンツーマンでお客様の不動産売却をお手伝いします!!私は一度きりのお取引で終わるのではなく末永くおつきあい頂ける仲介を目指しております。不動産のことなら、お気軽にご相談をお待ちしております。

不動産の売買契約における手付解除とは

不動産の売買契約における手付解除とは

手付解除とは、買主が売主に預けている手付金を放棄することで、契約自体を解除することを指します。
手付金とは、売買契約を締結した際に、代金の一部を契約の担保として預けるお金のことです。
通常、締結した売買契約を一方的に解除することは違約金の対象となります。
しかし、手付解除の特約を設定しておけば、理由を問わず契約を解除することが可能です。

売主買主双方の権利を保証するもの

手付解除による契約の解除は、売主と買主のどちらでも実行可能です。
買主が手付解除をおこなう場合、支払った手付金を全額放棄することで、売主の損失を補填します。
一方、売主が手付解除をおこなう場合には、手付金の倍額を返金することで、買主が物件を探し直す手間を補償します。
この仕組みにより、売主と買主双方が契約を解除する権利を保証するのが手付解除の特徴です。
ただし、手付解除を簡単に実行できる状況では買主側が有利になりすぎる可能性があるため、手付金が高めに設定されるケースが多く見られます。
一方で、手付金が高額すぎる場合には、解約を申し出たい事情があっても困難になることがあります。
そのため、特に売主が宅建業者である場合には、手付金に上限が設けられています。

手付解除が可能な期日

手付解除には、契約締結から何日以内という具体的な期間が定められているわけではありません。
原則として、契約の相手方がその契約の履行に着手するまでが手付解除可能な期間とされています。
契約の履行とは、契約内容を実現するための行動を指します。
たとえば、売主による所有権移転登記の準備や、買主による残代金の支払い準備などが該当します。
相手が契約履行の段階に入っている場合、手付解除による契約の解除は認められず、契約内容を履行するか、違約金を支払う必要があります。
ただし、住宅ローン特約などの特約が付されている場合、その特約の条件に該当すれば、違約金なしで契約を解除することが可能です。
また、売主の契約違反が原因で売買契約が解除される場合、買主に違約金の支払い義務は生じません。

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不動産の売買契約における手付解除の方法

不動産の売買契約における手付解除の方法

手付解除によって売買契約を解除する方法は、売主と買主のどちらがおこなう手続きかによって異なる名称がついています。
買主が手付解除する方法は手付放棄、売主が手付解除する方法は手付倍返しです。

手付放棄

手付放棄とは、買主の事情で売買契約を解除する際に用いられる手付解除の方法です。
契約締結時に支払った手付金を放棄し、それを売主に譲渡することで売買契約を解除します。
たとえば、「契約締結後により条件の良い物件が見つかった」「購入代金を支払えなくなった」などの理由で実施されることが一般的です。
買主が契約を解除した場合、売主は本来得られるはずだった売却代金を受け取ることができなくなります。
そのため、手付金を売主に譲ることで、その損失の一部を補填します。
ただし、売主がすでに所有権移転登記の手続きに着手していたり、建築やリフォームの準備を進めていたりする場合は、手付放棄による契約解除は認められません。

手付倍返し

手付倍返しは、売主が手付解除によって売買契約を解除するための方法です。
契約締結時に買主が支払った手付金の倍額を、買主に払い戻すことで契約を解除します。
「契約を結んだものの売却代金に納得できない」「親族間でトラブルが生じて売却が困難になった」など、さまざまな理由で解除される場合があります。
売主が契約を解除すると、買主は新たに不動産を探さなければなりません。
場合によっては、引っ越し先と旧居の両方を失い、仮住まいの期間が延びる可能性もあります。
そのため、倍額の手付金を返金し、賠償金の代替とする側面があります。
ただし、買主がすでに売却代金の残額を支払う準備を進めるなど、契約の履行に着手している場合、売主による手付倍返しはできなくなります。

手付解除の際は覚書を作成する

売主の主導であれ買主の主導であれ、手付解除によって売買契約を解除する際は、覚書を作成して記録に残します。
売買契約書の作成には収入印紙が必要ですが、覚書には収入印紙は不要です。
また、手付解除には特約で明確な期日を設けることが可能であり、契約の締結から引き渡しまでの期間に応じて期日が変わります。
引き渡しまでの期間が長い場合、手付解除が実施できる期間も延長されます。
ただし、決済までの間にさらに内金を支払う場合、その支払いが契約の履行に含まれる可能性があるため注意が必要です。

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売買契約の手付解除に伴う仲介手数料の支払い

売買契約の手付解除に伴う仲介手数料の支払い

通常、売買契約が成立したら不動産会社に仲介の報酬として仲介手数料を支払います。
契約書を作成して契約を締結した際に半分、引き渡しと決済の際にもう半分を支払うのが一般的です。
そのため手付解除をおこなう際はすでに半分仲介手数料を支払ったあとになります。

手付解除後も仲介手数料が発生する可能性がある

契約の相手から手付解除によって契約が解除された場合、仲介手数料は請求されない可能性があります。
一方で、自己都合で契約を解除した場合、仲介手数料を請求されることがあります。
仲介手数料は、売買契約が成立した際の成功報酬であり、通常は契約が解除された場合に支払う必要のない費用です。
ただし、不動産会社によっては、契約が締結された時点で一度売買契約が成立したとみなすケースもあります。
不動産会社による仲介手数料の請求権については、裁判における判例でも明確でない場合が多く、状況によって左右される可能性が高いです。

すでに支払った仲介手数料が返還されない可能性がある

売買契約締結時には、仲介手数料の半額を不動産会社に支払います。
この際に支払った仲介手数料は、手付解除による売買契約の解除後も返還されない可能性があるため注意が必要です。
一度契約が成立しているため、正当に支払われるべき報酬と解釈される場合、その傾向がとくに強くなります。
一方で、手付解除を売主と買主双方の当然の権利とみなし、支払われた仲介手数料を返還する不動産会社も存在します。
なお、住宅ローン特約を付けている場合、住宅ローンの本審査に落ちて契約が解除された際には、手付金も仲介手数料も全額返還されることが一般的です。
同様に、買い替え特約によって契約が白紙となった場合も、仲介手数料は全額返還されます。

仲介手数料の定めは媒介契約により異なる

手付解除になった際の仲介手数料の扱いは、不動産会社と締結した媒介契約の種類によって異なります。
媒介契約書は不動産会社が作成するため、内容をよく確認しないと、不動産会社に有利な条件が含まれている場合があるため注意が必要です。
契約を結ぶ際には、相手が個人の売主であれ不動産会社であれ、契約書の内容を隅々まで確認し、自分が不利にならないよう慎重に交渉する必要があります。

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まとめ

売買契約における手付解除は、手付金を諦めて契約そのものを解除する手続きです。
買主が手付解除をするのであれば手付金を全額売主のものにし、売主が手付解除するのであれば買主に倍額を返金します。
手付解除の際に不動産会社への仲介手数料が発生するかは、その不動産会社の考え方や媒介契約によって異なるため事前に確認しましょう。


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