法人の不動産売却はどういう流れ?計算方法や節税対策について解説

売却コラム

法人の不動産売却はどういう流れ?計算方法や節税対策について解説

法人が不動産売却を考える場合、どのくらい税金がかかるものでしょうか。
今回は、かかる税とともに計算方法や個人で売買する場合との違いについても解説していきます。
さらに、今後の経済活動において重要な節税対策についても、税率、投資、特別控除における対処方法を取りあげます。

この記事の執筆者

このブログの担当者 木下 康裕

株式会社キーポイント代表取締役
タワマン・マンション・戸建て・土地・事業用の不動産売却・購入をご担当させて頂きます。不動産経験15年以上、大手不動産会社出身の担当者がワンツーマンでお客様の不動産売却をお手伝いします!!私は一度きりのお取引で終わるのではなく末永くおつきあい頂ける仲介を目指しております。不動産のことなら、お気軽にご相談をお待ちしております。

不動産売却における法人と個人の税金の違い

不動産売却における法人と個人の税金の違い

個人と法人では、所有する物件の売却でかかる税金に下記で説明する違いがあります。

個人の不動産売却の場合にかかる税金

一般的に個人の収入は、給与所得を始めとして、事業所得、雑所得のように、収入の種類によって所得分野が異なるため合算できません。
さらに、個人の場合、課税事業者とは異なるため、建物に対する消費税は設定されませんが、不動産会社を通じた物件の売買では仲介手数料に消費税がかかります。
そして、個人の物件を売る場合に出る利益に対して税金がかかるようになっており、他の所得と分けて計算する必要があります。
たとえば、子どもが独立したために今住んでいる一戸建てを売って、新たにマンションを購入するなど、住み替えを考えるケースは多いものです。
このような住み替えで利益が出た場合、譲渡所得税がかかり、その他に所有する物件を売るときには、印紙税、登録免許税もかかります。
ただし、個人の所有する物件を売る場合は、法人よりも税金がかかりません。
税額などを正確に出すためには、まずは不動産会社に依頼して査定額を出してもらい、今後の資金計画を立てる必要があるでしょう。

法人の不動産売却の場合にかかる税金

企業が所有する物件の売却でかかる税は、すべての売上と売却利益を合算した額で決まります。
つまり、売却益は企業の業績や経営に影響を及ぼすほど重要で、企業の損益と考えられます。
因みに、所有する物件を売却して失敗するのは、物件の売却益が購入したときの価格よりも下がってしまった場合です。
そのような状態になると、企業の業績不振と見られてしまうため、実際に購入した価格は企業全体の売上状況との合算がおすすめです。
こうした企業が所有する物件を売った利益には、企業が支払う法人税や法人住民税、法人事業税がかかります。
したがって、企業は課税業者にあたるため、建物に関しても消費税を支払わなければいけません。
このように、物件を売るためにかかる税金が多いのは、個人よりも企業のほうなので、法人が物件の売買をおこなう際には、かかる税金についても考えておきましょう。

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法人の不動産売却の税金を計算する方法

法人の不動産売却の税金を計算する方法

企業が持っている物件を売る場合に出た利益は、他のすべての収益と合算できます。
その場合に生じる税金の計算方法は、税の種類によって異なるのでご注意ください。
ここでは、法人税、法人住民税、法人事業税、印紙税、消費税といった5つの税金の計算方法をご紹介します。

法人税の場合

法人税は、企業が事業によって得た損益の合算による所得にかかる税金ですが、赤字の場合はかかりません。
仮に不動産売却で利益が出たとしても、他事業がうまくいかず赤字を出してしまい、損益合算しても赤字であったら、法人税の支払いは免れます。
法人税の計算方法は以下です。

●所得=益金−損金
●法人税=所得×法人税率−控除金額


法人税率は法人の種類、規模、課税所得額により異なる数字なので、国税庁のホームページでチェックしておきましょう。

法人住民税の場合

法人住民税は、個人が払う住民税と同じで、企業が運営する事業所の設置している自治体に支払う税金です。
インフラ設備、公共サービスなどの恩恵を受けるために払う税で、複数の事業所が各都道府県にある場合は、すべての事業所ごとに法人住民税を払います。
計算方法は以下のとおりです。
なお、2024年4月における税率は都道府県で1.0%、市町村で6.0%になり、均等割は各自治体によって決められています。

●法人税割=法人税額×税率
●法人住民税=法人税割+均等割

法人事業税の場合

法人事業税は、法人の事業で収益が発生したときに各自治体に払う税金で、企業がおこなう事業で収益が出た際に各自治体に払う税金です。
各自治体に払う目的は、法人運営で必要なインフラ設備の維持などですが、法人税同様、赤字の場合は支払う必要はありません。
法人事業税の計算方法は以下をご覧ください。

●法人事業税=所得×法人事業税率
法人事業税率は各地域によって異なるため、各自治体で確認しておく必要があります。

印紙税の場合

印紙税は課税対象となる文書に収入印紙を利用すると、税を支払った形になります。
不動産売買契約書は、印紙税法で定められた文書の対象になっているためです。

消費税の場合

消費税は商品やサービスの売買時に支払う税で、実際は商品を購入した消費者が支払います。
不動産売買において、消費税が発生するのは建物、仲介業者への報酬、司法書士への報酬で、土地にはかかりません。
上記でご紹介した税の計算方法を知っておけば、不動産売買で利益が出たときなどに役立ちます。

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法人ならではの節税対策

法人ならではの節税対策

企業だからこそできる節税対策として、税率を引き下げる方法があります。

不動産売却で得た利益を他の所得に分配

たとえば、不動産売却で得た利益を他の所得に分配すれば、かかる税率を下げられる可能性があります。
個人と異なり、企業の場合は発生したすべての利益を合算できるので、所得の分配も可能です。

特別控除を利用

土地の有効活用を通して、投資の促進や地域の活性化を図るための特別控除を利用する方法も考えられます。
この方法は令和2年度税制改正における、低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置です。
条件を満たした譲渡価格が500万円以下または、800万円以下の低未利用土地等の譲渡をおこなう場合に100万円を控除します。
この場合の100万円は、長期譲渡所得から控除されるようになっており、800万円以下の低未利用土地等の譲渡ができるのは令和7年までとなります。

特別償却の利用で収益を調整

企業が事業や設備投資において、法人税から控除できるのは、投資した金額に一定割合を乗じた金額です。
これは、特別償却と呼ばれる、物件購入時に発生する減価償却費にさらなる減価償却費を加える仕組みです。
特別償却できる設備にはA類型とB類型があり、最新モデルだったり年平均で1%以上の生産性を向上させられたりする設備はA類型です。
B類型は生産ラインやオペレーションの改善ができます。
これらが節税優遇を受けるには、A類型の場合はメーカーから、節税優遇のための証明書を取得しなければいけません。
B類型の場合は投資計画の作成を税理士や公認会計士に見せて、経済産業省へ申請するようになっています。

新しい物件の購入

不動産売却の後、新しい物件を購入すると、購入した物件の減価償却費を計上すれば、利益を減らせるので、節税になります。
しかし、減価償却が不可能な物件や償却費が低い物件の場合はあてはまりません。
節税効果を期待したいならば、鉄筋コンクリート造りにするなど、新しい物件はよく見極めて選んでください。

不動産売却に詳しい不動産会社を選択

上記でご紹介したように、不動産売却における特別利益をうまく利用しながら、節税を試みるようにしましょう。
その際には、不動産売却に詳しい不動産会社を選択すれば、税金の問題も考慮しながら、企業におすすめの売却方法を提案してもらえます。
経験豊富で頼れる不動産会社を選択するのも、節税に結びつく対処法になるはずです。

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まとめ

企業が所有する物件を売って発生した利益は、他のすべての売上と合算できるので、利益を分配すれば、かかる税率を引き下げられます。
また、物件の売買によって企業が支払うのは、法人税などの税です。
これらの税は、特別控除や特別償却の利用によって収益を調整するなどの方法で節税できます。


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