送電線が不動産の売却に与える影響とは?評価額の調べ方をご紹介
不動産の売却時に、該当の物件が送電線下にあることもあり得ます。
送電線下にあることは、不動産の売却にどのような影響を与えるのでしょうか。
今回は、送電線の種類や送電線が通っていることが不動産の売却に与える影響、送電線下の不動産の評価を調べる方法についてご紹介します。
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送電線の種類
一般的に送電線と呼ばれるものには、電気の強さに応じて以下の種類があります。
●低圧
●高圧
●特別高圧
各電線における電気の強さやどこに供給されているかについてもご紹介します。
低圧
低圧の電線は、交流が600V以下、直流が750V以下の電気を送るための送電線です。
家庭に引き込まれる電線は、100Vまたは200Vの配電線となるため、低圧の電線に該当します。
ただし、これは家の近くの電柱で電圧を下げられた結果であり、それ以外の街中に張り巡らされた送電線はほとんど低圧ではありません。
電柱の上にある柱上変圧器、すなわちトランスによって電圧を下げられるまでの電気は、ほぼすべて高圧の電線を通ってきます。
高圧
高圧の電線は、交流が600Vを超え7,000V以下になり、直流が750Vを超え7,000V以下になるものです。
街中に張り巡らされた電線は、ほとんど高圧の送電線であり、これを電柱のトランスでさらに減圧して家庭に引き込みます。
トランスに届くまでにも、高圧の電気はすでに変電所を経て減圧されていますが、実際に家庭に届くまでにはもう1段階電圧を下げなければならないのです。
高圧のまま電気を使用するのは、おもに中小規模の工場や大型の機器を導入している施設などになります。
一般的な家庭では、高圧の電気を必要とする場面はほぼないものの、家の近くの電柱から引き込んでいる配電線以外はほぼすべて高圧なことに注意が必要です。
特別高圧
特別高圧は、交流、直流ともに7,000Vを超える電気を送るための送電線です。
大規模な工場など、一般的な施設よりも、さらに大量の電気を利用する施設に電気を送っています。
このような強い電気を引き込むためには、発電所からの電気を減圧している変電所から直接送電線を引き込まなければなりません。
さらに、特別高圧の場合は、送電線を支えるために電柱ではなく鉄塔を使用します。
鉄塔につけられている「がいし」の数によって送っている電気の強さが異なり、3から4個の場合は2万から3万V、20個から41個の場合は50万Vと開きが大きいです。
送電している電気の電圧が高いほど、不動産の価格に影響を与えます。
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送電線が通っている不動産の売却に与える影響
高圧線や特別高圧線が周囲にある場合、不動産の売却価格に影響を与える可能性があります。
送電線は周囲の景観を悪くする傾向にあり、心理的に忌避感を覚える方がいるほか、法律上の制限なども生まれるためです。
不動産の売却価格に影響するのは、送電線があることによる以下のような要素になります。
建築制限がかかる
電圧が17万V未満の送電線が通っている場合、その送電線のもっとも低い位置から半径3m以内の土地には建物を建てられません。
これは横だけでなく縦にも適用されるため、基本的にその土地には送電線より3m低い建物しか建てられないことになります。
送電線は温度によって伸びたり縮んだりするため、とくに伸びて高さが下がる夏を基準に決められている点に注意しましょう。
電圧が17万V以上ある場合はさらに制限が厳しく、電線の真下を中心とする水平距離3m以内の建築が禁止されています。
不動産の内部を電線が通っている場合のみならず、前面道路にかかっている場合でも適用されるため、こうした建築制限が適用される場合は売却価格が下がってしまうのです。
電力会社からの補償金の有無
不動産の上空に電線を通すことになった場合、基本的には電力会社から補償金が支払われます。
これは、電線が設置されることにより、土地の利用が制限されて所有者に迷惑をかけることに対する対価です。
補償金が定期的に支払われているのであれば、不動産を購入したあとも、新しく所有者になった方がお金を受け取れるため、あまり売却価格に影響しません。
しかし、補償金の支払いが電力会社との契約締結時の一括払いになっている場合、不動産を購入する方は補償金を受け取れないため売却価格が補償金の分下がります。
補償金をどのように受け取ったかの記憶が曖昧な場合は、あらためて電力会社との契約に関する書類を見返す必要があります。
騒音が発生する場合もある
鉄塔や送電線が近くにある場合、風が当たって風斬り音を発生させ、騒音の原因になることもあります。
これは設備が古いほど発生しやすく、新しいタイプの鉄塔や電線では発生しにくいです。
しかし、音に敏感で神経質な方にとっては、新しいタイプの鉄塔や電線で発生する音も気になる場合があり、眠れないほどになるケースもあります。
そのため、音が気になるので値下げしてほしいといわれることもあり、価格が下がる要因になるのです。
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送電線下の不動産の評価を調べる方法と売却前に確認すること
送電線下にある不動産の評価額を調べるには、通常の相場から電線があることによる不利益分の価格を差し引く必要があります。
この不利益分の価格を阻害率と呼び、国有地の評価方法や相続税の減価方法などからある程度の推測が可能です。
ただし、不動産価格は流動的なものであり、市場の相場からも影響を受ける点に注意が必要です。
国有地の評価基準を参考にする
国有地を送電線の通り道として電力会社に使用させる場合、財務省の評価基準では更地価格の30%を評価額とするよう定められています。
更地価格とは、土地の上に建物がない状態の価格を指し、国税庁が公表している路線価に土地の面積をかければ算出可能です。
また、相続税の減価方法を参考にする場合、家の建築に制限がかかる場合は30%、家の建築自体が不可能になる場合は50%価格が下がります。
地役権設定登記を確認する
電線を引く場合に電力会社と契約して補償金を受け取っていると、不動産に地役権設定登記がおこなわれている可能性があります。
地役権とは、他者が所有する土地を自分の都合が良いように利用する権利のことです。
電線を引く場合、その周辺に建物を建てられないための送電線路敷設地役権を設定し、登記簿謄本に登記をおこないます。
したがって、登記簿謄本の確認時にこの地役権が設定されていれば、電力会社との間に何らかの取り決めがある可能性が高いです。
一方で、契約を交わしたあとも、そもそも利用頻度が低く建物を建てられにくい山間部の土地などは、登記がおこなわれていない場合もあります。
地役権が設定されていなかったからといって、必ずしも何も契約がないとは限らないため注意しましょう。
送電線架設保持に関する契約を確認する
地役権が設定されていない場合、電力会社との間に別途契約が交わされていることがあります。
これは「送電線架設保持に関する契約」と呼ばれるもので、債権契約と呼ばれることも多いです。
この契約が交わされている場合、不動産の所有者には継続して定期的にお金が支払われているのが一般的になります。
そのため、登記簿謄本で地役権が確認できなかった場合も、送電線架設保持に関する契約が結ばれていないか、電力会社に確認する必要があるでしょう。
債権契約の場合は、現在の不動産の所有者だけでなく、購入したあとの所有者も電力会社からお金を受け取れる可能性があります。
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まとめ
送電線にはさまざまな種類がありますが、街中に張り巡らされているもののほとんどは高圧の電線です。
高圧・特別高圧の電線が引かれている不動産の場合、建築制限などの関係で売却価格が下がる可能性があります。
不動産の評価を調べるためには、公的な基準や電力会社との契約の有無を調べるのがおすすめです。
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