不動産売却における物件調査とは?種類や流れについて解説

売却コラム

不動産売却における物件調査とは?種類や流れについて解説

土地や建物の売却を検討する場合、不動産会社による物件調査がおこなわれます。
どんな調査なのか内容や目的が分からず、不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、不動産会社が物件調査をする理由や目的、具体的な調査内容、そして調査の流れなどについて解説しています。
円滑に取引を進めるために、調査についてあらかじめ知っておきましょう。

この記事の執筆者

このブログの担当者 木下 康裕

株式会社キーポイント代表取締役
タワマン・マンション・戸建て・土地・事業用の不動産売却・購入をご担当させて頂きます。不動産経験15年以上、大手不動産会社出身の担当者がワンツーマンでお客様の不動産売却をお手伝いします!!私は一度きりのお取引で終わるのではなく末永くおつきあい頂ける仲介を目指しております。不動産のことなら、お気軽にご相談をお待ちしております。

不動産売却時に会社がおこなう物件調査とは

不動産売却時に会社がおこなう物件調査とは

不動産会社による物件調査とは、物件の売却にあたって物件を実際に目視する他にも、書類でも確認する作業を指します。
重要事項調査とも呼ばれています。
不動産会社が売却の前に物件調査を実施する目的や、調査の種類や内容について、詳しく見ていきましょう。

調査の目的

物件調査は、物件に対して適正な売り出し価格を設定するために、前もって不動産会社の担当者がおこなう作業です。
不動産取引には同じケースはないため、その都度詳細な調査が必要となります。
十分ではない調査や、欠陥やリスクに気付かないまま取引をおこなうと、契約後のトラブルにつながりやすいです。
損害賠償請求につながる場合もある上に、売主と買主、どちらにも損失をもたらすケースもあります。
会社は、宅建業法による処分を受けるおそれもあります。
事前に現地や法令の調査をおこなうと、トラブルを回避できます。
また、不動産取引は買主、売主どちらも専門的な知識を有していないケースが多いです。
そのために、専門的な知識がある不動産会社が双方の間に立って取引を進めていきます。
根拠が明確な価格の提示や、物件の詳細な情報の共有のために、調査は欠かせません。
そして調査には、地面師詐欺と呼ばれる不正な取引を防ぐ目的も重要です。
地面師詐欺とは、本来の所有者になりすまして不動産の売却を進め、買主からお金をだましとる詐欺行為を指します。
もともと所有権がない物件ですので、買主はお金を払っても所有できません。
事前に調査によって所有権の詳細を把握しておくと、不正な売買を事前に防止できます。

6種類の調査方法

調査の方法は、主に6種類あります。
会社側は、対象となる物件の種類や状況などに応じた方法を用いて、必要な調査を進めていきます。
現地調査は、実際に不動産会社の担当者が現地を訪れておこなう調査です。
写真や図面、インターネットのマップなどだけでは把握できない情報を入手するのが目的です。
具体的には建物や土地の状態、境界線や接している道路の状況などもチェックします。
交通機関の利便性やアクセス、近隣にある教育機関や商業施設の有無は、売却時に重要視されます。
周辺施設からの音やにおいなども、現地でしか分かりえない情報です。
さらに、火葬場などの嫌悪施設と呼ばれる施設の有無や、将来の建設の予定状況などもチェックしています。
現地調査では、ライフラインの設備状況についても確認されます。
都市ガスかプロパンガスか、浄化槽の有無なども大切なポイントです。
水道を引き込んでいる箇所の確認、電気を引くための電柱の位置なども、現地で確認する調査項目です。

書類での調査

法務局調査は、不動産の登記情報を確認して、名義人の名前や、持ち分の割合や抵当権を調べる作業です。
所有者が異なると売却ができず名義変更が必要となってくるため、必要不可欠な調査です。
また、地積測量図や公図によって、物件の正しい所在地や面積を調べる他、土地の場合は接している道路の種類を調べます。
役所では担当部署で必要な書類を閲覧や請求し、確認をします。
建築物を建てる際、都市計画法や建築基準法といった法令による制約や条件の有無の確認が必要です。
調査は、基本的に物件所在地の市町村役場でおこなわれますが、調査項目によって都道府県や国土交通省に問い合わせる場合もあります。
役所が発行しているハザードマップで、将来発生する可能性がある災害についても調べます。
法令を調べると、今後のリフォームの可否が調査できる他、電気やガス、上下水道といったインフラ設備に関する情報の確認が可能です。

市場調査

その他の調査には、物件周辺で類似している取引価格を調べる市場調査があります。
過去の取引事例を調べて、価格の参考にする取引事例調査も価格設定に重要です。

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不動産売却時における物件調査の種類

不動産売却時における物件調査の種類

物件調査は、取り扱う不動産の種類によって、調査の内容が異なります。

マンション特有の調査

マンションなどの集合住宅では、駐車場や廊下、バルコニーといった共有スペースの設備の有無や状況をチェックしています。
トランクルームや駐車場は、空き状況の確認や料金、住人の使い方なども確認しています。
エントランスの広さや、管理人が常駐かどうかといった管理体制も大切です。
また、管理会社の規約を確認する他、中古マンションで重要となる、過去の修繕状況の調査もおこなっています。

一戸建ての調査

物件が一戸建ての場合、壁や床、屋根など建物の状態やどの程度劣化しているかをチェックします。
建物自体の構造やリフォーム工事の履歴、日当たりなども重要な調査内容です。
また、付帯設備の劣化状況や、修繕の必要性なども調査します。

土地の調査

土地の調査では、広さや形以外にも、傾きや高低差、土壌の種類などを確認します。
土壌の種類や形に問題があると考えられる場合は、土地の造成工事が必要となるためです。
販売を検討する場合、将来的なトラブルを避けるため、隣接する土地との境界線のチェックも重要です。
地積測量図と比較する他にも、境界石などで、境界が明確になっているか確認します。
隣接する土地の植物やブロックなどで越境されていないか、前の所有者による残置物の有無も確認しています。
目に見えない地中の埋設物や、送電線の有無など空の部分もチェック対象です。

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不動産売却時における物件調査の流れ

不動産売却時における物件調査の流れ

物件の調査は、どのように実施されるのか、調査の流れについて見ていきましょう。

聞き取り調査

最初に実施されるのは、売却を希望する所有者に対する聞き取り調査です。
物件についての基本的な情報を確認する目的でおこなわれます。
住宅ローンの借入先や残債、各種税金の滞納がないかどうか、マンションの場合は管理費の滞納の有無についても聞き取りがあります。
さらに、法定相続人に関する情報や付帯設備の状況確認なども調査します。
担当者は聞き取り調査をベースにして、現地や書類での調査を進めていきますので、正しい情報を提供するのが重要です。

現地調査

現地調査は、担当者が直接物件の所在地に行って確認する作業です。
地図やインターネット上の情報が間違っていないか目視します。
近隣にある施設の数や近さ、交通アクセスの利便性、そして接している道路の幅や状態、高低差も確認します。

法務局や役所調査

法務局では、登記を確認し、抵当権設定や持ち分、差し押さえなどの有無が確認できます。
権利関係を明確に把握していないと、物件の売り出しができません。
市町村役場では、公図や測量図などの公式な書類の確認の他、法令による高さや容積率といった制限の調査ができます。
ライフラインの調査も、同時に実施される場合が多いです。
不動産会社は、さまざまな角度から調査をおこなって物件の価値を把握でき、売り出す価格の参考にできます。

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まとめ

物件調査とは、売却を検討する物件についての情報を対象に詳細な調査をおこない、物件の価値を正しく把握する作業です。
販売のために適正価格を付ける目的の他、トラブルを防ぐ目的でおこなわれます。
調査は主に6つの種類があり、実際に物件の状況を調べる現地調査や役所や法務局での書類調査やインフラ調査などがあります。
聞き取り調査の際には、スムーズな取引のために、担当者に正確な情報を伝えるようにしましょう。


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