不動産売却での現状渡しとは?メリットやデメリットもあわせて解説

売却コラム

不動産売却での現状渡しとは?メリットやデメリットもあわせて解説

中古物件を売却するとき、売り出す前に修繕をしたほうが良いのかよくわからないという方もいるでしょう。
また、できればあまりお金をかけずに売り出したいと考えている方も少なくないのではないでしょうか。
この記事では、不動産売却での現状渡しとはどういったものか、また売主・買主双方からみたメリットやデメリットを解説していきます。

この記事の執筆者

このブログの担当者 木下 康裕

株式会社キーポイント代表取締役
タワマン・マンション・戸建て・土地・事業用の不動産売却・購入をご担当させて頂きます。不動産経験15年以上、大手不動産会社出身の担当者がワンツーマンでお客様の不動産売却をお手伝いします!!私は一度きりのお取引で終わるのではなく末永くおつきあい頂ける仲介を目指しております。不動産のことなら、お気軽にご相談をお待ちしております。

不動産売却での現状渡しとは

不動産売却での現状渡しとは

一般的に建物を売却する際は、壁のひび割れや雨漏りなどの瑕疵を修繕して引渡しますが、事情によりそれができない場合があります。
不動産売却での現状渡しとは、そういった場合のように、瑕疵をそのままにして売ることをいい、現状有姿や現況渡しも同じ意味です。
瑕疵には、その他に給湯器など設備の破損、浴槽や便器の割れ、クロスの剥がれや破れなどがあります。
そういった瑕疵と契約内容との間に不適合が見つかれば、売主に責任が生じます。

これが契約不適合責任で、通常はそのまま売却するとトラブルにつながる可能性があります。

通常、売買契約に際して瑕疵の有無や、瑕疵があればその内容を買主から売主へ事前に伝える告知義務があります。

もし、違反すれば買主が売主に対し契約不適合責任請求ができます。
物件の引き渡し後に、告知されていなかった瑕疵が見つかった場合、買主には売主に対し次の4つの責任を求める権利が発生します。
1つめは追完請求で、不適合部分の修補請求や不足分・代替物の引渡し請求ができる権利です。
2つめは代金減額請求で、履行追完の催告をしても追完されない場合におこなうもので、原則的に不適合を見つけたときから1年以内の通知が必要となります。
そして、3つめは追完の請求に売主が対応しないときにおこなえる契約解除、4つめが買主側に損害が発生した場合の損害賠償です。
つまり、現状渡しの場合、売主と買主の間に瑕疵に関しての同意がなければ、契約不適合責任を請求される可能性があります。
そのため、売買契約書に、引渡し後に不具合があっても売主は責任を負わない旨を記した、免責条項を入れておく必要があります。
もちろん免責条項を入れるときも、不具合は不動産会社にもれなく伝えたうえで、売買契約書にも明記し、買主と情報を共有しなければいけません。
また、建物内や外構に残置物やゴミがあれば、売主が撤去しなければならず、もし残すのであれば、売買契約書に記して買主の同意を得ておく必要があります。

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不動産の売却で現状渡しをするメリット

不動産の売却で現状渡しをするメリット

建物は築古になるほど修繕にかかるコストは高くなる傾向にあり、売却できても修繕費と相殺して利益がでないことも少なくありません。
また、リフォーム業者探しや工事の打ち合わせ、工事期間中の状況確認など手間もかかってしまいます。
その点、現状渡しであれば手を入れずに売れるため、利益が出やすくなることが売主として大きなメリットです。
手を入れる必要がなく、修繕の工期を計算に入れる必要もなく、早期売却の可能性も高くなるため、早く現金化したい場合に有利です。
通常、修繕やリフォームには数週間から長いときは数か月の期間が必要で、早期に売りたい方にとって、それだけの工事期間は長く感じられるものでしょう。
とくに今の家を売ってから新居を買う売り先行であれば、売り出し期間が長くなるほど仮住まいでのコスト負担が重くなっていく一方です。
しかし、現状渡しであれば修繕工事の必要もなく、早期売却が可能なため、仮住まいの期間を短くでき、余計な費用を抑えられ新居の資金計画も立てやすくなります。
他にも不動産会社による不動産買取での売却では、契約不適合責任が免責となることが一般的なので、損害賠償請求されるといったリスクが小さくなることもメリットの1つです。
通常、不動産の売買や売主と買主の間に不動産会社などの仲介業者が入り取引がおこなわれますが、不動産買取とは不動産会社が物件を直接買い取る方法です。
不動産買取にも2つの方法があり、即時買取は不動産会社がすぐに買い取るもので、その不動産の購入を希望する相手を探す期間が必要ないため、なるべく早期に売却したい方に向いている方法です。
もうひとつの買取保証は、いったん市場に物件を出して買主を探しますが、あらかじめ決めた期間内に売れなかった場合、不動産会社が買い取ってくれる方法です。
どちらも早めに売れる方法ですが、市場相場とくらべ、6~8割程度の取引価格となります。
現状渡しでの買主のメリットとしては、立地と広さが同条件の物件よりも安く購入しやすいというメリットがあります。
安く購入できれば資金に余裕ができ、その分立地がよく広い物件も選択肢に入れられ、物件探しの選択の幅が広がります。
また、カスタマイズの自由度が高いこともメリットで、修繕が施された物件であれば、その部分は手をつけづらく自由度は低くなってしまいます。
しかし、修繕不要で手に入れた物件であれば、全面的に自分の好みやスタイルでのリフォーム・リノベーションが可能です。
住宅のデザインや機能性、住み心地を重視する方は、自分だけの空間を作り上げる楽しみが持てる点は大きなメリットになるでしょう。
他にも、投資家やデベロッパーにとっても低コストで購入できる現状渡しは魅力的で、利益が出しやすいことがメリットです。

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不動産売却で現状渡しでのデメリット

不動産売却で現状渡しでのデメリット

売主のデメリットは、契約不適合責任を請求される可能性がある点で、引渡し後に契約内容と違う瑕疵があれば、法的責任を追及される可能性があります。
これを避けるためには、売買契約時に契約不適合責任の免責特約をつけるのが有効で、もし引渡し後に瑕疵があっても、買主からの追完請求や損害賠償を受けにくくなります。
また、契約不適合責任の通告には、瑕疵を知ったときから1年以内という期限があり、これを過ぎた請求は無効です。
さらに、買主と売主双方の合意が得られた場合、その通告期限を前倒しにできる特約も付けられます。
売主のデメリットとして、売却価格が市場相場よりも低くなる場合がある点で、契約時に買主から値下げ交渉を持ち出される場合もあります。
現状渡しは引き渡し後に修繕が必要になる場合も多く、買主の負担が大きいため買主有利で話が進むことも少なくはありません。
つまり、それらの条件を考慮した売り出し価格の設定をおこなわなければ売れにくくなり、相場よりも低くなるのはしかたない一面があります。
ただ、知らず知らずの間に必要以上の値下げをしてしまっていることもあるため、市場価格の把握は必須で、適切な売り出し価格の設定が重要です。
買主のデメリットは、引き渡された物件はそのまま利用できず、リフォームやリノベーションが前提となっている点が挙げられます。
いくら安く購入できても、リフォームやリノベーションに高額な費用がかかってしまい、結局他の物件を購入したほうがよかったと後悔するケースもあります。
現状渡し物件を修繕前提で購入するのであれば、あらかじめその修繕費用がどのくらいかかるのか、予算の計画を立て購入価格とあわせた総コストの把握が必要です。
購入にあたって、事前に充分な説明があっても不安が残る場合、インスペクションをおこなえば物件の状態の確認ができますが、そのコストは自前となります。
そして、契約書にない瑕疵があった場合、売主に対して問い合わせや免責特約の確認など手間がかかる点もデメリットの1つです。

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まとめ

現状渡しとは、設備の故障などの修繕をせず、そのままの状態で物件を売却する方法のことをいいます。
売主のメリットは、費用をかけずに早期売却できる点、買主のメリットは安く手に入る点です。
デメリットは、売主側には契約不適合責任を追及される可能性がある点、買主側はリフォームが前提となる点となります。


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