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空き家に浄化槽がある場合の管理はどうしたら良い?

売却コラム

空き家に浄化槽がある場合の管理はどうしたら良い?

空き家の管理をおこなう際に清掃を忘れがちな場所として浄化槽が挙げられます。
普段は下水道が設置された住宅に居住している場合、浄化槽の手入れがわからない方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、空き家を所有している方に向けて、浄化槽の清掃をしないとどうなるのか、ご紹介します。
浄化槽を長期間使用しないときの対応や管理方法についても把握し、ぜひ今後のご参考にしてみてください。

この記事の執筆者

このブログの担当者  木下 康裕

株式会社キーポイント代表取締役
タワマン・マンション・戸建て・土地・事業用の不動産売却・購入をご担当させて頂きます。不動産経験15年以上、大手不動産会社出身の担当者がワンツーマンでお客様の不動産売却をお手伝いします!!私は一度きりのお取引で終わるのではなく末永くおつきあい頂ける仲介を目指しております。不動産のことなら、お気軽にご相談をお待ちしております。

空き家の浄化槽の清掃を忘れたらどうなる?

空き家の浄化槽の清掃を忘れたらどうなる?

まずは、空き家の管理において浄化槽の清掃を忘れたらどうなるのか、ご紹介します。

浄化槽とは?

そもそも浄化槽とは、家庭から出る汚水をきれいな状態にして放流するための装置のことです。
汚水をそのまま側溝や河川へ放流すれば、不衛生なうえに自然環境にも良くない影響を及ぼします。
そのため、浄化槽は自然環境を守るために必要な汚水処理設備の1つだと言えます。
駐車場や庭などに2枚から3枚のマンホールのような蓋が設置されていれば、浄化槽があると判断することが可能です。
判断が困難な場合は、購入した住宅メーカーや浄化槽保守点検業者に確認してみましょう。
浄化槽では、自治体が管理する処理場に集めて処理する下水道とは異なり、汚水をきれいにするために微生物の分解力を活用しています。
微生物は酸素がなければ活動できないため、浄化槽には酸素供給用のブロワと呼ばれる装置が設置されているのが一般的です。

清掃を忘れると悪臭の原因になる

汚水処理設備である浄化槽の清掃を忘れると、悪臭が発生する原因になってしまいます。
微生物の死骸が浄化槽内に溜まったり、微生物が分解しにくい汚れがこびりついてしまったりするためです。
ブロワが正常に作動していても、このような原因をきっかけに浄化槽の働きが低下してしまうことがあります。
そのため、空き家でも年に1回程度は浄化槽の清掃をおこなうことが大切です。
清掃は内部を空にして汚れを落とし、再び水を張ってから微生物を新たに投入する流れでおこないます。
定期的におこなうことによってにおいを抑制することが可能です。

通電はどうする?

先述したブロワは電力によって作動するため、空き家の管理費(光熱費)を節約しようとブレーカーを落とした状態にすれば、ブロワは停止します。
すると、浄化槽内の微生物に酸素が供給されなくなり、呼吸できなくなった微生物は死滅してしまうでしょう。
そうなれば、排出された汚水は分解してきれいな状態にできなくなるため、においが発生しはじめます。
管理のために空き家を頻繁に訪れることは困難な方も多いでしょうから、悪臭に気付かずに近隣住民に迷惑をかけてしまう可能性もあります。
悪臭は地域の衛生環境に大きな影響を与えるため、空き家の所有者による十分な配慮が必要です。
遠方などで空き家を頻繁に訪れることが難しいのであれば、光熱費はかかりますが、通電した状態のままで管理したほうが良いかもしれません。

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空き家の浄化槽を長期間使用しないときの対応

空き家の浄化槽を長期間使用しないときの対応

空き家の浄化槽を長期間維持するためには、適切な管理をおこなうことが大切です。
ここでは、空き家の浄化槽を長期間使用しないときの対応についてご紹介します。

浄化槽法とは?

浄化槽の管理をおこなう場合は、浄化槽法について把握しておく必要があります。
浄化槽法とは、浄化槽の所有者に定められた義務について規定された法律のことです。
守れなければ、罰則を受けることもあるため、注意しましょう。
義務付けられている事項は、次のとおりです。

●浄化槽の各種装置の確認や調整をおこなう
●浄化槽の清掃や汚泥の引き抜き、法定検査を年に1回の頻度でおこなう
●消毒剤の補充などを4か月に1回以上の頻度でおこなう(家庭用の小型浄化槽の場合)


浄化槽法は居住者がいない空き家にも適用され、自治体からの指導を受けても改善されなければ、6か月以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることを覚えておきましょう。
実際に罰則を受けることはほとんどありませんが、近隣住民に実害があれば通報から発覚する可能性があるため、注意が必要です。
点検や清掃は浄化槽を設置したメーカーがおこなっていることもありますが、そうでなければ自治体に登録された専門業者のなかから選択することが可能です。

長期間使用しないときは義務が免除される方法がある

先述した浄化槽法によって浄化槽は、空き家でも定期的な管理が義務付けられています。
しかし、このような義務を果たすことが難しい方もいらっしゃるでしょう。
そこで、浄化槽を長期間使用しない場合は、自治体へ浄化槽使用休止届や浄化槽使用休止報告書を提出することをおすすめします。
そうすれば、浄化槽法で定められた義務は免除されます。
ただし、様式は自治体ごとに異なることを覚えておきましょう。
また、浄化槽使用休止届を提出する際は、事前に浄化槽内や蓋の清掃と水抜きをおこなう必要があります。
このとき、蓋が劣化していないかも確認しましょう。
せっかく水抜きをおこなっても、蓋の劣化によって雨水などが浸入すると、悪臭の原因になってしまう可能性があるためです。
ここで言う長期間の目安は1年です。
1年以上空き家を使用する予定がない場合は、義務を怠ってしまうリスクなどを考え、浄化槽使用休止届を提出したほうが良いでしょう。
一方で、空き家の期間が1年前後の場合は、入居者がいる場合と同じように通電をおこない、保守点検も継続することをおすすめします。
そうすることによって、すぐに浄化槽の利用を再開することが可能です。
なお、点検をおこなおうと思っても通電していなければブロワの動作など、一部の機能の確認ができないため、注意しましょう。

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空き家の浄化槽の管理にかかる費用

空き家の浄化槽の管理にかかる費用

先述したように空き家の管理にともなって浄化槽も定期的な掃除や点検が必要です。
浄化槽使用休止届を提出した場合でも、悪臭による近隣住民とのトラブルを回避するため、最低限の清掃や点検はおこなうことをおすすめします。
ここでは、空き家の浄化槽管理にかかる費用についてご紹介します。

管理内容と費用

浄化槽の清掃や点検を個人でおこなうのは困難なため、基本的には専門業者に依頼しなければなりません。
空き家の場合は、状況に応じて訪問回数などが異なるため、専門業者に相談して清掃や点検の内容や頻度を決定すると良いでしょう。
浄化槽使用休止届を提出していなければ、先述したように保守点検、清掃、法定検査を決められた頻度でおこなう必要があります。
通常の点検や清掃では、動作確認、薬剤や微生物の投入などをおこなう場合、月に1回5千円程度の費用がかかります。
年に1回おこなう点検、清掃や汚泥の引き抜きにかかる費用は、3万円から5万円が目安です。
また、年に1回おこなう法定検査にも5千円程度の費用がかかることを覚えておきましょう。
このように浄化槽使用休止届が未提出であれば、多額の費用がかかります。

空き家の使用予定がない場合は売却の検討もおすすめ

浄化槽が設置された家は、下水道が設置された家よりも管理費が大きくなる可能性が高いでしょう。
空き家の管理には、ほかにも固定資産税や光熱費、交通費など、継続的に多くの費用がかかります。
また、遠方になるほど、管理のための手間や負担が大きくなりがちです。
そのため、今後の使用予定がない場合は、売却も検討してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

空き家の浄化槽の清掃や点検を継続的におこなわなかった場合、悪臭が発生して近隣住民とのトラブルに発展してしまう可能性があります。
費用を抑えたうえで管理を継続するためには、浄化槽使用休止届を自治体に提出し、専門業者に相談して清掃や点検の頻度を減らしましょう。
浄化槽使用休止届を提出しなければ法律で定められた頻度で清掃や点検をおこなわなければならず、多額の費用がかかるため、注意が必要です。


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