不動産売買契約後の解除が可能な特約とは?ローン特約・買い替え特約を解説

売却コラム

不動産売買契約後の解除が可能な特約とは?ローン特約・買い替え特約を解説

不動産購入は高額な取引となるため、さまざまなリスクに備えることが大切です。
この点について不動産売買では、契約を結んだ後でも契約を解除できる特約が選べます。
そこで今回は、売買契約後に契約を解除できるローン特約・買い替え特約の内容と、契約を解除した場合の仲介手数料の扱いについて解説します。

この記事の執筆者

このブログの担当者 木下 康裕

株式会社キーポイント代表取締役
タワマン・マンション・戸建て・土地・事業用の不動産売却・購入をご担当させて頂きます。不動産経験15年以上、大手不動産会社出身の担当者がワンツーマンでお客様の不動産売却をお手伝いします!!私は一度きりのお取引で終わるのではなく末永くおつきあい頂ける仲介を目指しております。不動産のことなら、お気軽にご相談をお待ちしております。

不動産売買契約を解除する特約①:ローン特約

不動産売買契約を解除する特約①ローン特約

不動産を購入する場合、金融機関から住宅ローンの融資を受けて資金を準備することは珍しくありません。
しかし、住宅ローンの利用を前提とした不動産購入にはリスクが存在するため、ローン特約が必要になることがあります。

ローン特約とは

住宅ローンを利用して不動産を購入する場合、売買契約の時点では住宅ローンの審査に通過したと仮定して契約書にサインします。
融資元である金融機関の審査に通過すれば問題はありませんが、審査に落ちた場合は不動産の購入ができなくなります。
このリスクを回避するための手段が、ローン特約です。
ローン特約とは、売買契約を締結する際に付ける特約であり、審査に通過しなかった場合には契約を解除できることが保証されます。

ローン特約が必要になる理由

不動産売買契約においてローン特約が必要になるのは、売買契約を結ぶ時点で住宅ローンの本審査が終わっていないためです。
不動産の買主は、購入したい不動産が決まった段階で、売買契約を結ぶ前に金融機関による住宅ローンの事前審査を受けます。
事前審査に通過した場合、売買契約を進め、そのあと、金融機関の正式な本審査を受けるのが一般的です。
ここで注意が必要なのは、住宅ローンの事前審査は自己申告による情報に基づいておこなわれ、本審査より精度が低い点です。
住宅ローンの本審査では、契約者の与信などさまざまな条件について、提出された資料をもとに判断されます。
そのため、事前審査では問題ないとされていても、本審査で総合的な判断により融資が実行できない場合があります。
こうしたトラブルに備え、買主を保護するためにローン特約が設けられています。

ローン特約で不動産売買契約解除をおこなう条件

原則として、ローン特約による契約解除が認められるのは、買主が住宅ローンの審査を通過するために誠実に対応した場合のみです。
そのため、住宅ローン審査において保証人を立てる努力を怠ったり、売買代金を上回る融資の申し込みをおこなったりした場合、ローン特約による契約解除は困難になります。
さらに、ローン特約で契約解除の条件が整った場合でも、解除の権利は相当と判断される期日までにおこなう必要があります。

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不動産売買契約を解除する特約②:買い替え特約

不動産売買契約を解除する特約②買い替え特約

ローン特約とは、ローン審査にとおらなかった場合に利用する売買契約解除の取り決めです。
これ以外に不動産売買には買い替え特約がありますので、具体的な内容を見てみましょう。

買い替え特約とは

不動産売買契約における買い替え特約とは、買い替え前の古い住宅が売れ残った場合、新居の買主が購入契約を解除できる取り決めです。
不動産売却には、売却先行と購入先行の2つのタイプがあり、買い替え特約が必要になるのは購入先行で買い替えを進める場合です。
購入先行の不動産買い替えとは、旧居の売却完了を待たずに新居の購入を進めることです。
購入先行では、旧居を退去してすぐに新居に引っ越せるといったメリットがありますが、旧居が売れ残ると新居の購入資金が確保できないというデメリットもあります。
旧居が売れ残ることで資金確保が困難になるリスクを回避するためには、買い替え特約を付けて万が一の場合に契約を解除できる手段を残しておくことが重要です。

買い替え特約で契約解除をおこなう条件

買い替え特約は、旧居が売れ残るかどうかという不安定な要素に左右されるため、単に旧居が売れなかっただけで契約解除を認めると、新居の売主側のリスクが大きくなります。
そのため、買い替え特約で契約解除をおこなうためには、早期売却に向けて努力していることを条件とするのが一般的です。
具体的には、旧居の売却について、仲介を担当する不動産会社と専任媒介契約または専属専任媒介契約を結んでいることが求められます。
一般媒介契約では、不動産会社からの十分なサポートが受けられないことがあるため、積極的なサポートが期待できる専任媒介契約または専属専任媒介契約が必要です。
買い替え特約を売買契約に盛り込むかどうかは新居の売主の判断にかかっているため、期日内の旧居売却を目指していることが伝わるように媒介契約の内容を提示し、同意を取り付けることが重要です。

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特約で不動産売買契約を解除した場合の仲介手数料

特約で不動産売買契約を解除した場合の仲介手数料

不動産購入をお考えならば、いったん売買契約が成立している場合に契約解除の特約によって仲介手数料がどのように扱われるかをチェックしましょう。

仲介手数料が不要になる条件は?

基本的には、ローン特約または買い替え特約で売買契約を解除した場合、仲介を担当する不動産会社に仲介手数料を支払う必要はありません。
ローン特約や買い替え特約による契約解除は、一度成立した売買契約を白紙解約するものであるため、仲介手数料は不要です。
ただし、ローン特約では融資承認取得期日が定められており、契約解除はこの期日までにおこなう必要がある点に注意が必要です。
同様に、買い替え特約でも旧居の売却期日が定められており、この期日を過ぎて売買契約を解除することはできません。

仲介手数料が発生することがある?

ローン特約や買い替え特約による解除ではなく、手付解除や違約解除をおこなう場合、仲介手数料を支払う義務が発生します。
手付解除や違約解除は、特約を付けていない場合に利用する契約解除の方法です。
手付解除は、支払った手付金を放棄することを条件に、買主が売買契約の解除を申し入れることを指します。
また、売主が手付解除をおこなう場合、手付金の倍額が買主に返還されるのが一般的です。
一方、違約解除とは、支払いができない、物件の引き渡しができないなど、債務不履行が生じた場合に契約解除となることを指します。
違約解除では、仲介手数料が必要なだけでなく、物件価格の10~20%程度の違約金が発生することに注意が必要です。
さらに、違約解除をおこなう場合、取引相手から損害賠償請求を受けるリスクもあります。

不動産購入でよくあるローン特約のトラブル

ローン特約を盛り込んで不動産購入を検討する場合、よくあるトラブルを事前にチェックしておくことが重要です。
具体的なトラブルとして挙げられるのは、売買契約書に融資元となる特定の金融機関名が記載されていない場合です。
この場合、他の金融機関でローン審査が通る可能性があると判断され、ローン特約による契約解除が難しくなります。
また、利用する金融機関を指定していても、融資金額が記載されていないことが原因でトラブルが発生することがあります。
必要な金額よりも少ない金額で審査が通過した場合、融資承認が得られているため、ローン特約による契約解除はできません。
さらに、新築一戸建ての購入を検討している場合、分譲会社によっては買い替え特約が利用できないことがあります。
旧居が売れ残るリスクを減らすためには、ローン特約の期日を延長する必要がありますが、旧居の買主が利用する住宅ローンに関するトラブルにも注意が必要です。
旧居の買主が住宅ローンを利用する場合、新居購入がローン特約期日を過ぎないように十分注意しましょう。

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まとめ

不動産売買契約におけるローン特約とは、住宅ローン審査にとおらなかった場合に契約を解除できる取り決めです。
また、買い替え特約は、期日までに旧居が売れなかった場合に契約を解除できる取り決めを指します。
ローン特約・買い替え特約で契約を解除すれば、契約自体が白紙解約されるため、仲介手数料の支払いは不要です。


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